自然環境を考える演劇

2015.12.06

演劇企画フライウェイ(東京)が『有明をわたる翼』(脚本:堀良一・飯島明子・野﨑美子・演出:野崎美子)を12月19日(土)、福岡市中央区天神のアクロス福岡 イベントホールで上演する。

演劇企画フライウェイ『有明をわたる翼』

渡りの旅の途中でシギたちが目にしたものは、巨大な堤防によって死に追いやられた干潟と、その堤防をめぐって真っ二つに引き裂かれた漁師町だった。荒ぶる海神の前で、生き物たちと人々の運命が交錯する。

演劇企画フライウェイ『有明をわたる翼』稽古風景 演劇企画フライウェイ『有明をわたる翼』稽古風景

諫早湾の潮受け堤防開門をめぐって争う人間たちのドラマに、ベントス(底生生物)、鳥、昆虫などの野生生物のドラマが重なる。代表の飯島明子から、本作についてのコメントが届いた。

演劇企画フライウェイは自然環境と人間との関係を演劇・朗読で表現するために2013年に設立した団体です。自然環境に関するアマチュア演劇は、これまで環境保全団体などによって演じられてきましたが、私たちは生態学者とプロの演劇人・音楽家のコラボレーションにより、科学的に正確かつ上質のエンターテインメントを目指しています。代表の飯島は磯や干潟のベントス(水底で生きる生物の総称、貝やカニ、ゴカイの仲間など)の生態学の研究を20年ほど続け、2013年から日本ベントス学会諫早湾検討委員をつとめています。この団体を立ち上げたきっかけは、諫早湾の問題でした。諫早湾では1997年の潮受け堤防閉め切りにより、ベントスも魚も激減しました。諫早湾だけでなく、かつて「宝の海」と呼ばれた豊穣な有明海全域で深刻な漁業被害が出ています。しかしこの現状の報道は全国的にほとんどなされていません。そこで我々は2013年、諫早湾の南北両水門が開放されるはずだった年に、諫早湾の堤防に翻弄される漁業者たちと渡り鳥たちの物語が交錯する演劇『有明をわたる翼』(脚本:堀良一・飯島明子・野﨑美子)を作り、12月に東京の小劇場で旗揚公演として上演しました。

私たちは『有明をわたる翼』を通して、諫早湾で起きている問題と、人間以外の生き物たちにも言い分があるということをお客様たちに知っていただきたい、そして演劇そのものも楽しんでいただきたいと考えました。演劇であるからには、デモなどの運動とは異なり、エンターテインメントでなければならない、と私たちは考えています。重いテーマなのでなおのこと、随所に笑いもちりばめ、何より美しい舞台にしたいと考えています。

東京公演はとても好評で、九州からいらしたお客様には「九州でぜひ上演してほしい」という熱いコールをいただきました。報道が少ない中で「忘れられた環境被害」の一つになってしまわないように、私たちはまたこの演劇を上演したいと思います。

この演劇を成功させ、一人でも多くの人が諫早湾の水門開放に注目して有明海の漁師さんたちを応援していただければ、また人間以外の干潟の生き物たちの声なき声に耳をかたむけていただけるようになれば、私たちにとってこの上ない幸せです。

出演は、神田敦士、崎野亜紀子、羽根渕章洋、庄﨑隆志、渡辺英雄、友野翔太、板津未来、宮原清美、高橋洋介、佐藤幹、宮崎陽介、小林美歌。また、歌を福岡出身のバリトン歌手、加耒徹、演奏を川村亘平斎(パーカッション)、荒井靖水(薩摩枇杷)、喜羽美帆(二十五弦箏)、丸山麻美(ピアノ)が務める。薩摩琵琶、二十五絃箏のほか、ガムランといった珍しい楽器による生演奏と、聾者の庄﨑隆志による振付と踊りもあり、演劇を通して環境問題を考えるいい機会になりそうだ。

チケットは一般3,000円、学生2,500円(要学生証提示)、ペア券5,000円。カンフェティ、チケットぴあでの取り扱い。お問い合わせはflyway.ariake@gmail.comまで。


演劇企画フライウェイ『有明をわたる翼』

脚本:堀良一・飯島明子・野﨑美子
演出:野崎美子
日時:2015年12月19日(土)12:00/17:00
会場:アクロス福岡 イベントホール(福岡市中央区天神1-1-1)
料金:一般3,000円
   学生2,500円
   ペア券5,000円(前売のみ)

【関連サイト】
演劇企画フライウェイ
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演劇企画フライウェイ『有明をわたる翼』

※情報は変わる場合がございます。正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。
※記事初出後、料金が前売・当日一律に変更になりました。

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