企画創作コンペ最優秀賞受賞のしたためが、福岡で初の公演

2016.06.07

したため(京都)が#4『文字移植』(原作:多和田葉子、演出・構成:和田ながら)を6月18日(土)〜19日(日)、福岡市博多区祇園町のぽんプラザホールで上演する。

したため#4『文字移植』

京都を拠点に活動する演劇ユニット・したためは、2011年の活動開始以降、出演者の日々の生活のドキュメントから演劇を創作。2015年10月にはその集大成となる『わたしのある日』を上演した。今年からは、他者が書いたテキストから創作を行っている。

今回挑むのは、日本語とドイツ語、ふたつの言語を往復しながら精力的に活動し、芥川龍之介賞をはじめとした文芸賞を多数受賞した作家・多和田葉子の初期作『文字移植』。言葉はどのように「移植」することができるのか? そしてその「移植」をおこなう者の身体とは、どのような運動のさなかにあるのか? 多和田の独特の身体性をふくんだ筆致を、演出の和田ながらと同世代で、京都を拠点に活動する現代美術家・林葵衣を舞台美術に迎えて創作する。

本公演は、FFAC企画 創作コンペティション「一つの戯曲からの創作をとおして語ろう」vol.5最優秀作品賞受賞公演として行われるほか、福岡公演に先がけて京都でも上演される。したため初となる福岡公演に向けて、演出・構成の和田ながらは次のようなコメントを寄せている。

時は2014年の夏に遡ります。コンペのチラシを、ある研修プログラムで訪れていた施設で見かけました。審査員のそうそうたる名前に火をつけられ、しかも、行ったことのない福岡で、ということで、思い切って応募!…したはいいものの、実は、不安がありました。それまで、したためは、出演者の日常生活に取材し、作品ごとにテキストを構成する手法を続けていました。そのため、既存の戯曲をテキストの改変なしにきっちりと演出する、というコンペの課題は、したためにとって新しい挑戦だったのです。

不安だらけで出発した新しい挑戦は、しかし、稽古を進めるにつれて、自分をどんどん推進していく不思議な力に変わっていきました。クリエイションの作業を通してその作家自身に触れにゆくこと、作家の声や身体というものを見つけだしていくことが、演出者としてのよろこびの一つのかたちであることに気付きました。

「2016年はテキストに出会う旅に出よう」
コンペで最優秀作品賞をいただいて、まず思ったことです。同時に、これはきっとテキストだけではない他者にも出会っていく旅になっていくだろう、と予感しました。2015年5月の決意を果たすべく、『文字移植』のプロジェクトでは、おそれることなく、たくさんの出会いを仕掛けていきました。

まずは、作家の多和田葉子さん。同時代に生きる女性の作家。頭だけでこしらえられているとはとても思えない彼女の文章は、書き手の肉体と呼吸がなまなましく埋め込まれているように思います。わたしは、なにより身体を第一のメディアとして扱う演劇として、彼女の言葉に応答すべきだ、と思いました。

それから、舞台美術の林葵衣さん。京都を拠点に現代美術家として活動する彼女は、とりわけ人間の身体に関心を寄せた作品を制作しています。彼女は舞台芸術にかかわった経験はありませんが、むしその新鮮な接触にこそ、クリエイションを膨らませる発火点があるように考えています。

そして、多田香織さん。したためでの出演経験がある3人の俳優に加えて、出演者にも新しい出会いを求めました。福岡と東京という彼女の活動地域も、今までのキャリアも、したためとは重なってこなかったからこそ、価値のある出会いになると思います。

最後に、福岡という場所です。拠点としている京都でずっと活動してきたしたためは、今回、初めて本公演のツアーを行います。他地域での上演というスリルと同時に、コンペという機会で自分に大きな力を与えてくれた福岡で初めてのツアーを実現できることの喜びは、今までの公演とはまったく違う感覚をもたらしているように思います。

演劇は、さまざまなものごとが交通し、出会う場であること。そしてその最たるものが、作品と観客のみなさんが上演で出会う、その瞬間であること。その瞬間を迎えるために、いま、稽古場で、真摯にテキストと向きあう時間を重ねています。

また、京都での初演を目前に控え、現在の感触を和田は次のように語ってくれた。

まもなく京都公演初日がやってきます。したための演劇は多和田葉子さんの言葉に殉ずることができるのだろうか、ということを、愚直に問い続けた稽古の日々でした。そして今は、多和田さんに、むしろ自由を与えてもらっているような気分です。『文字移植』は林葵衣さんによる舞台美術が芯となりました。そして、俳優の身体も声も、尽きるまでつぎこんでいくつもりです。ぜひ彼ら・彼女らの姿を見届けにきてください!

出演は、穐月萌、岸本昌也、菅一馬、多田香織(KAKUTA)。19日(日)14時公演では、手塚夏子(ダンサー/振付家)、大澤寅雄(文化生態観察)をゲストに迎えたポストパフォーマンストークも行われる。

チケットは、一般2,500円(当日2,800円)、学生1,700円(当日2,000円)、高校生以下無料(予約のみ)。予約専用フォーム 、メール、文化芸術情報館アートリエ(10:00〜19:30、毎週水曜休館)での取り扱い。

お問い合わせはinfo.shitatame@gmail.com、070-6927-5835(トヨヤマ)まで。


FFAC企画 創作コンペティション
「一つの戯曲からの創作をとおして語ろう」vol.5最優秀作品賞受賞公演
したため#4『文字移植』

原作:多和田葉子
演出・構成:和田ながら
日時:2016年6月18日(土)14:00/18:00
        19日(日)14:00*
   *ポストパフォーマンストークあり
会場:ぽんプラザホール(福岡市博多区祇園町8-3)
料金:一般2,500円(当日2,800円)
   学生1,700円(当日2,000円)
   高校生以下無料(予約のみ)

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※情報は変わる場合がございます。正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。

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