花野組が『4時48分サイコシス』を北九州芸術劇場で上演

2017.02.11

花野組(福岡)が『4時48分サイコシス』(作:サラ・ケイン、演出:hananoj 花野純子)を3月31日(金)、北九州市小倉北区室町の北九州芸術劇場 小劇場で上演する。

花野組『4時48分サイコシス』

鬱病の末、28歳でこの世を去ったイギリスの寵児、サラ・ケインの遺作『4時48分サイコシス』。明確な台詞とト書きの指定がなく、登場人物の数もいろいろな解釈が可能なこの作品は、世界各国の演劇人を惹きつけ、日本でも数多くの団体が上演に取り組んできた。花野組は2011年のロングラン公演以降、何度もこの『4時48分サイコシス』に向き合ってきた。上演を重ねてたどり着いた本作の最新の解釈は「主人公が性的違和感を持つ女性であること」。恋の相手は精神科の女医であり、その失恋が自殺に繋がった悲劇を描いたものだという解釈で、本作に取り組む。

福岡のみならず、熊本や佐賀でも上演を行い、今回いよいよ満を持して北九州芸術劇場での上演となる。演出であり主演のhananoj 花野純子に、今回の公演について話を訊いた。

ー花野組では『4時48分サイコシス』を2011年から上演されていますが、花野組にとってこの作品はどんな位置付けですか?

2010年に、英国劇作家サラ・ケインの遺作『4時48分サイコシス』を初めて読みました。これまでの活動の中で、こんなに興奮して戯曲というものを読んだ事がありませんでした。世界屈指の「難解戯曲」に完全に圧倒されたのです。この(戯曲という)楽譜を、どう演奏すべきかと必死で試行錯誤しているうちに、あっという間に5年が経っていました。ライフワークのつもりもなかったし、理由があって特別な舞台になったわけでもなく、ただ現在も成長し続けている大切な作品です。花野組のスタッフに支えられ、その存続が許されているという舞台になります。

ー初演から今回まで数多くの上演を重ねてこられたかと思いますが、演出はどのように変わってきましたか?

信じられないような変化を遂げました。初演は9名で演じました。それから6名、3名、1名と減っていったのは、戯曲に登場人物の人数や示唆がなされていないからでした。でも一番、劇的だったのは、主演である私が最初は「女流劇作家」の定義で登場していましたが、
現在は「僕」と名乗る、性別を越えた主人公になっている事です。コレは途中からサラ・ケインの研究者様から声をかけて頂き、翻訳の一人称は「僕」であるべきとの、アドバイスを頂いたからです。正直、違和感の中、セリフを総て僕と言い換えた時、これまで閉塞していた戯曲のパワーが開かれたような気持ちになり、新たな活力と自由を得ました。それが昨年からはじめた「1人主役」のバージョンです。ただの一人芝居ではありません。出演者が1人しかいない「孤独な戯曲」だと気付いたのです。
元々、私は過去から演出家として一人芝居に否定的でした。面白くないと思っていたのです。バラエティー感がないと。でも「1人しか出演していない戯曲」も存在して当然だと思うし、現代にはそれが逆に、自然に受け入れられると思っています。

花野組『4時48分サイコシス』

北九州で演じる時に「少し大人になろうか」とヒゲを描いてみましたが、女子スタッフに不評でボツになりました、でもチラシにはその写真を使っています。

ー北九州芸術劇場での公演ということで、新たな挑戦があれば教えてください。

昨年から「1人の主役」バージョンになって、初演は教会の美しい礼拝堂でした。良い意味でも狭かったので、芸術劇場は小劇場でもとても広く感じています。緞帳もありませんから、大小道具を置いた時点でどんな舞台か予測がついて、ドキドキしないんじゃないかと心配しました。その結果、広い舞台に「ナスカの地上絵のコンドルを描こう」と、ひらめきました。広過ぎる舞台で、孤独な主役が、どこか星のような遠くにむかって(それは観客の心かもしれませんが)大声で救いを求めている劇場になればいい、と思ったのです。芸術劇場にコンドルを描く…のが大仕事になりそうです。一度稽古場で描く練習をしましたが、文化祭の教室みたいになっちゃって(笑)。テーピングではなく「小石」や「パンくず」を並べてみる…とか現在も思案中です。

花野組『4時48分サイコシス』

ー最後に一言、mola!をご覧のみなさんにコメントをお願いします。

「演劇」という枠に囚われないものを作りたいと思っていますが、がっつり「演劇」であるのも、花野組『4時48分サイコシス』です。主役は1時間12分を、自由奔放に生きた結果、とても苦しんで死んでいきます。人間の生と死という基本的なドラマに真剣に向き合った結果の舞台です。mola!をご覧の皆さん、最後まで読んで頂きありがとうございます。そして劇場で是非お会いしましょう!

出演は、hananoj 花野純子。

チケットは2,500円(当日2,800円)。花野組070-5690-1258、e+での取り扱い。

お問い合わせは花野組070-5690-1258まで。


花野組『4時48分サイコシス』

作:サラ・ケイン
演出:hananoj 花野純子
日時:2017年3月31日(金)19:00
会場:北九州芸術劇場 小劇場(北九州市小倉北区室町1-1-1-11 6F)
料金:2,500円(当日2,800円)

【関連サイト】
花野組
花野組「4時48分サイコシス」(Twitter)

※情報は変わる場合がございます。正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。

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