灯台とスプーンが新作を赤煉瓦文化館で上演

2018.11.12

灯台とスプーン(福岡)が第五回公演『幸福な山羊王子とおひめさまのはなし』(作・演出:田村さえ)を12月9日(日)、福岡市中央区天神の福岡市赤煉瓦文化館で上演する。

灯台とスプーン 第五回公演『幸福な山羊王子とおひめさまのはなし』

幼い頃に火事で両親を亡くし、
叔母のえっちゃんとその恋人けいちゃんに育てられた、つぐみ。
火をつけたのは、アトリという名の友人だという。
記憶の中のアトリは、自らを「山羊座の王子」だと明かし、
故郷へ一緒に帰ってくれるお姫様を探していた。

オスカー・ワイルド『幸福な王子』などのおとぎ話をモチーフに、
ひとつの家族と、その周りの人たちを描いた王子さまとおひめさまたちのラブストーリー。

2015年に旗揚げし、定期的に活動を続ける灯台とスプーン。9月にはオリジナルメンバーで代表でもある安藤美由紀が、「今後の活動の可能性を見据えた勉強期間」として一年の活動休止を発表。2人体制で新作『幸福な山羊王子とおひめさまのはなし』に挑む。本作の作・演出を務める田村さえと、出演の柳田詩織に話を聞いた。

田村さえ(灯台とスプーン)

ー今回の作品はどういうお話ですか?

田村 今回は、レズビアンのカップルに育てられた子どもが大人になったときの話なんです。チラシにもそれは書いてるんですけど、さーっと読んだらわからないかもしれません……。

ー「えっちゃん」は叔母なので女性というのはわかりますが、「けいちゃん」も女性なんですね。

田村 そうです。叔母さんに引き取られるんだけど、そこには女性の恋人がいて、3人で暮らしている。……オスカー・ワイルドの『幸福な王子』ってお話知ってます?

ー知らないです。

田村 「幸福な王子」っていう名前の銅像があって、体に宝石とか金箔とかがいっぱいついてるんです。王子さまはツバメに頼んで「宝石取って街のひとに配ってよ」って、体についてる宝石なんかを配ってもらうというおとぎ話があって。王子さまはいろいろ取られてボロボロになっていき、ツバメもそれに付き合ってるうちに、ほんとは冬を越すために南に行かなきゃいけないんだけど行けずに死んじゃう、ふたりで死んじゃうみたいな。簡単に言うと「自己犠牲」みたいな感じのお話がありまして。今回の作品はそれにたとえながら進んでいくんです。

ーつらい……。

田村 そのたとえとして、えっちゃんが王子さまでけいちゃんがツバメで、つぐみのためにえっちゃんがつぐみを引き取って、けいちゃんがそれに巻き込まれるという。

ーチラシのあらすじには「王子さまとおひめさまたちのラブストーリー」と書いてありますが……。

田村 今回初めて「ラブストーリーです!」と言って書いてます。ラブストーリーです。

ーラブストーリーですか。

田村 今回「性別」のことをものすごく考えてて。たとえばレズビアンのカップルの苦悩だったり、子どもを育てる苦悩だったり、主人公のつぐみはつぐみで彼女たちに育てられたことを友だちになかなか言えないという悩みがあったり……。「女として生きるとはどういうことなのか」みたいなことを考えながらつくっています。

ー特に「女性性」という感じですか?

田村 女性性から出発して、性別を考える、みたいな感じです。

左から、亀岡紋加、柳田詩織(灯台とスプーン)

ーどうして今回そういった作品をつくろうと思ったんですか?

田村 一緒につくっている(灯台とスプーンのメンバーである)柳田詩織や(客演の)福田みゆきが、日常会話でそういう性別の話をすることが前からあって。「女の子として生きるのしんどいよね」みたいな。「(男性でも女性でも)どっちでもない感じでいきたいよね」みたいな。「中性でありたい」というような話も日ごろからふつうにすることが多かったので。じゃあ普段そういうこと考えてるんだったら、それを作品でやってみてもいいよね、ということで作品にしました。今回出演者が全員女性なので、みんなでいろいろ相談しながらつくっています。みんな古くから知ってるメンバーなので、和気あいあいとしながら。

ー灯台とスプーンのオリジナルメンバーは3人なんですよね?

田村 そうですね。

ー9月にそのうちのおひとり、安藤美由紀さんが一時活動休止になられたと。

田村 安藤さんがお休み中で、基本的には私と柳田と、ときどきお手伝いしてくれている制作さんがいつつやってます。

ーふたりになって、どうですか?

柳田 いままで安藤がなにをどれだけ負担していたかをいまひしひしと感じます……。
田村 割と得意不得意で分担していたので、あまり得意じゃないことをやらないといけない場面があったり。稽古場押さえで先日もやらかしてしまって……。
柳田 稽古場や公演会場の押さえ、全体的な金銭管理は安藤がやってくれてましたね。宣伝美術・SNS系は田村がやってて、チラシの配布や顧客対応は私がやるという。あとはキャスティング面の連絡も安藤が担当してくれてました。

ー制作面の特に大変なことを安藤さんがやられてたんですね。

柳田 それをいま痛感してますね。
田村 そして私は稽古場押さえでやらかしてしまうという……。
柳田 何回言うんよ(笑)。
田村 ショックが強すぎて……。

ー今回会場が「福岡市赤煉瓦文化館」という、普段あまり演劇公演はやられていない印象のあるところですが、この会場を選んだのはどうしてですか?

田村 赤煉瓦館って中に螺旋階段があったり、窓ガラスも古い感じの、ぼこぼこしたガラスだったりして、レトロな洋館みたいな場所なんです。今回おとぎ話っぽい作品だし、雰囲気に合うかなと思って選びました。自然光が入ってきていい感じなんですよ。

ー15時と18時の回で雰囲気が変わるでしょうね。

田村 そうですね。そういった雰囲気も味わっていただこうと思っています。


出演は、亀岡紋加、成清暁子(非・売れ線系ビーナス)、福田みゆき、松尾佳美、柳田詩織(灯台とスプーン)。

チケットは1,500円。予約フォームでの取り扱い。また、「公式グッズor山羊座特典」として、公式グッズの提示、または山羊座(12月22日~1月19日生まれ)の場合、誕生日がわかる物の提示で、ささやかなプレゼントがあるという。

お問い合わせはtoudai.to.spoon@gmail.comまで。


灯台とスプーン 第五回公演『幸福な山羊王子とおひめさまのはなし』

作・演出:田村さえ
日時:2018年12月9日(日)15:00/18:00
会場:福岡市赤煉瓦文化館(福岡市中央区天神1-15-30)
料金:1,500円

【関連サイト】
灯台とスプーン
灯台とスプーン(Twitter)

灯台とスプーン 第五回公演『幸福な山羊王子とおひめさまのはなし』

※情報は変わる場合がございます。正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。

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