劇団HallBrothersが20周年記念公演、第1弾は童話をもとにした作品

2019.01.09

劇団HallBrothers(福岡)が20周年記念公演ラッシュ①初春『Sour Grapes』(作・演出:幸田真洋)を1月18日(金)~20日(日)、福岡市博多区祇園町のぽんプラザホールで上演する。

劇団HallBrothers 20周年記念公演ラッシュ①初春『Sour Grapes』

小学一年生のPTA役員たち。「親睦を深めましょう」とお呼ばれしたその家は……豪邸。
優雅にお茶をふるまう家主。おしゃれなインテリア。高そうな調度品。
みな、羨望の声をあげつつも、嫉妬と虚しさに包まれていた。
なんで私は平凡な主婦なんだろう……
と、一人の役員がつぶやいた。
「でもさ、お金があるからって幸せとは限らないよね……」
「お金持ちの方がかえって心が貧しかったりするんじゃない?」
「こんな広い家に住んでいたら、逆に家族関係が希薄になるよね。」
一人のつぶやきにあの人もその人も、そして私も次々に乗っかって行く。
そう、お金持ちの方が不幸でないと困るのだ。じゃないと私たち、みじめになるじゃない―

劇団HallBrothersが20周年公演企画第一弾として上演するのは、イソップ童話の「すっぱいぶどう」からインスピレーションを得た作品。作・演出を担当する幸田真洋に作品について聞いた。

ーイソップ童話がもとになっているとのことですが、どのような作品でしょうか?

平凡な主婦、教師、貧乏くさいおじさんたちのお話です。あらすじにある通り、PTAのリーダー格の家にお呼ばれしたら豪邸で、なんとも妬ましく感じてしまう。しかし、金持ちは金持ちで幸せなのかというとそうではなく、どこか空虚さを抱えており、他者を妬ましく感じてしまう……。そんな現状に満足できない人々が、怪しい占い師にハマっていき、おかしな方向へ向かってしまうというストーリーです。HallBrothersは「ねたみ・そねみ・ひがみ」をテーマとした会話劇をやる、と掲げているんですが、その看板通りの作品になります。

ーすごいテーマを掲げてますね……。

イソップ童話の「すっぱいぶどう」は、自分の手の届かないところにあるぶどうに対して「あんなのきっとすっぱくてマズイに決まっている」と負け惜しみを言うキツネのお話なんですが、この気持ち、僕は非常によくわかる(笑)。人間、どうしても隣の芝生が青く見えるものですが、いくらうらやんだって手に入らないものは手に入らない。そんな時、負け惜しみを言って心を慰めようとするんですよね。でも、そもそも自分の芝生で満足すればいいわけで、「足るを知る」ということが大切だな、と。いまで経っても足りない足りないと思っている自分への戒めみたいな作品です(笑)。

ー劇団創立20周年記念企画第一弾とのことですが、第二段、第三弾の計画があれば教えてください。

15周年の時にも「15周年記念公演ラッシュ」と題して、年間4本やりました。なので、20周年も4本やろうと考えています。
この公演の後、4月にすぐ第二弾をやる予定で、10周年記念公演第一弾でやった『青い体温』を新作的に改訂して上演します。今現在の会話劇のスタイルに大きく舵を切った作品なんですが、当初は上手く書けなくて、ずっと後悔していました。大体、タイトルもヘンだし。10年経った今ならもっと上手に書けるはずだと自負しているので、このタイミングでやろうと考えました。
第三弾はおそらく秋ごろになると思いますが、これも10周年記念第二弾でやった『饒舌な足裏』という作品を大改訂して上演しようと考えています。これ、FPAPのDDシアター(※1)という企画でMONOの土田英生(※2)さんにドラマドクターをやってもらった作品なんですが、めちゃくちゃ怒られたんですよね。この時の経験が今、ものすごく生きているので、土田さんは師匠みたいなものですが、10年経った今、師匠に挑戦というか、現メンバーに合わせて大改訂して、改めて自分一人の力で作品を作り上げたいな、と。
第四弾は冬ごろ、新作です。代表作である『となりの田中さん』や平成27年北海道戯曲賞(※3)の最終候補に残った『中央区今泉』のような、巨大な舞台装置の中で生きる人々を同時進行で描いていく同時進行シリーズ(と僕は勝手に呼んでいます)の第三弾を作りたいです。
あと、劇団の自主公演ではありませんが、2月に「GILUD ENGEKI FES’19」に参加して新作『田舎者のDNA』を上演します。というわけで、2019年は最低でも5本、もしかしたら思いつきでもっとやるかもしれません。

※1)DDシアター
NPO法人FPAP(福岡)の主催の企画。創作団体が、脚本や演出などにアドバイスを行うドラマドクター(DD)を指名し、創作の過程でドラマドクターから助言を得て公演を行う。2009年に土田英生(MONO)がドラマドクターを務め、劇団HallBrothers(福岡)『饒舌な足裏』、万能グローブ ガラパゴスダイナモス(福岡)『ボスがイエスマン』を上演。2011年には、岩崎正裕(劇団太陽族)がドラマドクターで、グレコローマンスタイル(福岡)が『アンタガタドコサ~Self-portrait IDENTITY~』を上演した。(※2)MONOの土田英生
京都を拠点に活動する劇団「MONO」。土田英生はMONOの代表・劇作家・演出家であり、俳優でもある。

※3)北海道戯曲賞
公益財団法人北海道文化財団が主催する戯曲賞。第1回(平成26年)に藤原達郎(飛ぶ劇場/北九州)が『悪い天気』で大賞、島田佳代(演劇集団非常口/伊佐)が『乗組員』で優秀賞を受賞して以降、九州の劇作家が優秀賞や最終選考に残るなど、縁の深い戯曲賞。

ー20周年は、まさに盛りだくさんの一年になりそうですね。

20周年というとすごいオッサン・オバサンの集まりみたいにイメージするかもしれませんが、出演者の平均年齢は28歳、下は21から上は41までという幅広い年齢層です。というわけで、幅広い年齢の方に共感していただけるのではないかと思っています。

ーmola!をチェックしている方にメッセージをお願いいします!

最近、南青山の児相建設計画反対のニュース(※4)が世間を騒がせていますが、あの反対派の人たちの差別的な発言はほとんど僕が書く芝居の登場人物じゃないか、とびっくりしました。芝居だから過剰に書いているところがあると自認していたつもりが、現実に存在するとは、と。あれは地価を下げたくない地元不動産屋のサクラで、本当の住民はあんな意見は持っていない、という話もあり、真実はわかりませんが、しかし、あんな差別意識を持った人は確実に存在するということだと思いますし、現代というのはそれほどに追い込まれた時代なのだと思います。
人間のどうしようもない暗い部分を重すぎず滑稽に描いていますので、是非、自身の、他人の、後ろ暗い部分を笑い飛ばし、つまらない差別意識なんて捨てていきたいものですね。どうぞ、劇場へ足をお運びくださいませ!

※4)南青山の児相建設計画反対のニュース
東京都港区が建設計画を発表した児童相談所に対する、反対運動やそれら一連のニュース。児童相談所とは、0歳から17歳のいわゆる児童に関するさまざまな相談や保護を行う施設。

出演は、萩原あや、永倉亜沙美、唐島経祐、堀内葵、下田夏希、木村晴香、関口祐香、山下大貴、幸田真洋。

チケットは、前売1,800円(当日2,000円)。メールseisaku@h-bros.net、ローソンチケット(Lコード:81533)での取り扱い。

お問い合わせは劇団HallBrothers seisaku@h-bros.net、090-8410-4267(ハギワラ)まで。


劇団HallBrothers 20周年記念公演ラッシュ①初春『Sour Grapes』

作・演出:幸田真洋
日時:2018年1月18日(金)19:30
        19日(土)14:00/19:00
        20日(日)14:00
会場:ぽんプラザホール(福岡市博多区祇園町8-3)
料金:前売1,800円(当日2,000円)

【関連サイト】
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劇団HallBrothers 20周年記念公演ラッシュ①初春『Sour Grapes』

※情報は変わる場合がございます。正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。

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