天才画家ゴッホの生涯を4人の俳優が綴る『Gogh Quartet』

2019.03.08

砂漠の黒ネコ企画(福岡)が『Gogh Quartet』(作:Granous B.K Ponser、演出:木下智之)を3月23日(土)~24日(日)、北九州市八幡東区枝光本町の枝光本町商店街アイアンシアターで上演する。

砂漠の黒ネコ企画『Gogh Quartet』

木下智之による演劇企画ユニット「砂漠の黒ネコ企画」。本作の脚本を務める「Granous B.K Ponser」は、木下のペンネーム。このペンネームには「海外でも通じるようなテーマと普遍性を描きたい」という想いが込められている。木下は平成26年に『喜劇ドラキュラ』で九州戯曲賞の大賞を受賞、第3回全国学生演劇祭では福岡代表として『ぼくら、また、屋根のない中庭で』の作・演出を担当するなど、いま福岡で注目の若手演劇人である。

今回の作品『Gogh Quartet』は、タイトルの通り福岡の若手俳優4人がゴッホを演じる。37歳で無名のまま生涯を閉じた天才画家、フィンセント・ファン・ゴッホが追い求めたもの、描き続けた理由を、「4人のゴッホ」が紡ぐ会話劇。木下智之に、本作について聞いた。

ー本作の着想を教えてください。

砂漠の黒ネコ企画は2016年4月に『Good bye, Robert』というロバート・キャパ(※1)をテーマにした写真家の芸術観の話からはじまりました。この時は写真家でしたが、それ以来、芸術家の生き様というものにすごく興味をひかれて、いつかまた違う芸術家を書きたいとずっと考えていました。芸術家は王様ほど遠い存在でなく、政治家ほどセンシティブでなく、軍人や学者ほどマニアックでなく、限りなく普通の人に近い存在で、それでいて豊かな感受性と生命力が溢れている、そんなテーマが魅力的だったのだと思います。

※1)ロバート・キャパ
1913年~1954年。ハンガリー生まれの写真家。戦場カメラマン、報道カメラマンとして活躍。報道写真を対象とした「ロバート・キャパ賞」も存在する。

ーゴッホを作品のモチーフにしようと決めたのは?

2017年くらいから絵描きの話にしたいと思って、自分でもたまに絵を描いたりしてテーマを探していました。全国学生演劇祭で京都に行った時、ちょうど会場の真隣の美術館で「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」という展覧会が開催されており、その時にゴッホだ、と決めました。改めて観たゴッホの絵に魅了されたのはもちろんなのですが、特に面白いと感じたのはその描き方、つまりは、「価値観が何度も大きく変わっていること」でした。それも、普通の画家が数十年かけて変わるような変化を、ゴッホは10年程度という短い画家人生の中で二度も三度も経験している。この躍動感が、すごく演劇的だと感じました。
あと、意外とゴッホがポジティブシンキングだとわかったのも大きいです。いつでも耳を切るような人間性(※2)だと、センセーショナルではありますが共感できるかと言われたら微妙だと思いますので。

※2)いつでも耳を切るような人間性
ゴッホは晩年、心身を病み、自分で左耳を切断。切り取った耳は娼婦ラシェルに贈ったとされる。ゴッホ自身はこの事件について覚えておらず、真相は謎に包まれている。

ー『Gogh Quartet』は4名の俳優がそれぞれゴッホを演じるとのことですが、「4人のゴッホ」というアイディアはどこから来たのでしょうか?

ゴッホ展に足を運んだ時点で、ゴッホの人生を分割して、複数人の異なるゴッホが出てくるという着想もできました。ゴッホという人間の振り幅を出したいと感じたので、俳優さんはそれぞれ全く違うタイプの方にお願いしたいと当初から思ってました。具体的にまとまるまでは時間がかかりましたが……。結果的に、素朴さが持ち味の方からエッジの効いた個性のある方まで、見事に毛色の違う方々に集まっていただけたと思います。この凸凹感まで含めて、ゴッホらしさにできたらと思っています。
君島史哉さんは、奇遇にも私が初めてアイアンシアターで観た劇のそめごころ版『赤鬼』(※3)に出られており実力も確かな方ですし、的野将幸さんはたびたびうちにご出演いただいているすごく面白い俳優さんです。緒方卓也くんはある意味一番ゴッホらしい尖った個性の持ち主ですし、関大祐くんは2017年の福岡大学合同公演以来の縁で、巨大な体躯全体にパワーをみなぎらせてくれる強い俳優さんです。
ある意味、福岡の20代男性小劇場俳優のエッセンスの濃縮みたいな陣営かもしれません。この4人の個性を目一杯活かした作品にしようと思っております。

※3)そめごころ版『赤鬼』
野田秀樹の戯曲『赤鬼』を、演劇ユニットそめごころ(福岡)が2014年に北九州・福岡で上演した。

ー初の北九州での公演を枝光本町商店街アイアンシアターにした理由を教えてください。

全国学生演劇祭をきっかけに、自分達の作品をより大勢の人に観ていただきたい、異なる地域でのご講評をいただきたい、と考えるようになりました。福岡というホームの温かさに甘えるばかりではいけないと。アイアンシアターは個人的に大ファンな劇場で、今まで観劇した劇場の中で作品を持っていきたい場所No.1でした。舞台の広さ、客席数、劇場全体の黒色、演劇の交流拠点としての役割、全てに魅力を感じてます。新しい環境でより良い作品に挑むため、そして新しいご縁を紡ぐために、北九州のアイアンシアターにお邪魔させていただければと思っております。

ー今後の目標や展望などはありますか?

北九州公演でのご反響次第なところはございますが、今後も積極的に遠方での公演にチャレンジしたいという気持ちは変わりません。具体的な場所ではありませんが、私自身が和歌山県出身なので、関西での公演に挑みたいという夢はずっとあります。今回の公演を弾みに、より多くの方と繋がるために演劇という表現を続けていきたいと思っています。
作品では、狭い空間での一人芝居の構想を練ってる段階です。今回のゴッホでも4人の俳優は喋らない時こそあれ、ほぼ常に舞台上には出てる状態なんですが、せっかく演劇というナマモノを選んだのだから、とにかく少しでも多くの時間をお客さんと共有したいというこだわりがあるので。それを突き詰めるなら、濃密な一人芝居かな、と構想中です。

ー最後にmola!をチェックしている方へメッセージをお願いします!

砂漠の黒ネコ企画と申します。ご存知の方は少ないかと思いますが、このたび北九州で、ゴッホやらせていただきます。もちろんこれはゴッホの物語ですが、彼の生涯の中でのさまざまな葛藤、全く無名でありながらそれでも絵を描かずにいられない強い衝動は、きっと多くの方の人生と重ね合わせることができると自負しております。また、ゴッホの短い期間での大きな変化と変わらない根底、それを表現できるのは、異なるゴッホが同じ空気を共有するお芝居という媒体ならではだと思います。これをきっかけに砂漠の黒ネコ企画と『Gogh Quartet』の事を少しでも知って頂けたなら、是非劇場でお会いしたいと思っております。mola!をご覧の北九州の皆様、どうぞよろしくお願いします。また福岡市はじめ北九州市外の方におかれましても、このたび遠方割料金を設けておりますので、是非是非よろしくお願いします。

出演は、的野将幸、君島史哉(演劇ユニットそめごころ)、緒方卓也(ロボットパンケーキZ)、関大祐(Mr.daydreamer)。

チケットは、前売1,500円(当日2,000円)、北九州市外の方対象の遠方割(受付で住所確認書類提示)前売1,000円(当日1,500円)。カルテットオンラインでの取り扱い。

お問い合わせは砂漠の黒ネコ企画blackcatindesert@gmail.com、080-9795-1925(オオノ)まで。


砂漠の黒ネコ企画『Gogh Quartet』

作:Granous B.K Ponser
演出:木下智之
日時:2019年3月23日(土)13:00/18:00
        24日(日)13:00/18:00
会場:枝光本町商店街アイアンシアター(北九州市八幡東区枝光本町8-26)
料金:前売1,500円(当日2,000円)
   遠方割前売1,000円(当日1,500円)※北九州市外の方対象、受付にて住所確認

【関連サイト】
砂漠の黒ネコ企画(Twitter)

砂漠の黒ネコ企画『Gogh Quartet』

※情報は変わる場合がございます。正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。

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