永山智行(劇団こふく劇場) インタビュー

2017.05.06

宮崎県を拠点に活動する劇作家・演出家の永山智行(劇団こふく劇場代表)は4月7日、劇団Facebookで2017年度活動の概要を発表した。それを受け、各公演の詳細等について取材するため、永山にインタビューを行った。

永山智行(劇団こふく劇場代表)

ー2017年度の活動として、10~11月に佐世保市を拠点に活動する劇団HIT!STAGEさんとこふく劇場さんとの合同公演が発表されました。タイトルは『境目』とのことですが、合同公演に至ったきっかけや概要などについて教えてください。

私がはじめてHIT!STAGEの舞台に触れたのは、2007年度に劇作家協会新人戯曲賞の最終候補作になった『春の鯨』(アルカス演劇さーくる×劇団HIT!STAGE)を、2009年に西鉄ホールで観たのが最初だと思います。存在感のある俳優たちと、体の奥深くに確かにある情念のようなものを匂わせる戯曲に魅せられたのを覚えています。同じ年、佐世保まで劇団公演の『CASE3~よく学ぶ遺伝子~』を観に行き、最初に感じた予感は確信に変わりました。
その後、佐世保にワークショップに呼んでいただいたり、三股町でのまちドラ!(※1)に参加してもらったりという交流をゆっくり続けてきました。
今回の合同公演は2年ほど前にご提案いただき、わたしたちとしても県外の劇団との合同公演は初めてなので、楽しみにしています。
今回、私は演出家として、森さんの新作戯曲が出来上がるのを待っているのですが、作品としては、佐世保と宮崎、そして男と女をつなぐその距離を測るような作品になるのじゃないかと思っています。……おそらく。

ー2018年1月には「東京×こふく劇場」という団体名で、こまばアゴラ劇場での公演が計画されています。東京×こふく劇場は、劇団こふく劇場の東京支店のような団体で一応別団体。永山さんが東京に滞在し、東京の俳優たちと芝居をつくる。上演タイトルは『島』。ということなのですが、この企画が動き出したきっかけや概要などについて教えてください。

2007年にシェイクスピアの『夏の夜の夢』を劇団公演で上演したのですが、その際に出演者オーディションを東京で行いました。それに参加した東京のフリーの女優・佐藤祐香さんとその後もゆっくりと交流を続け、2014年9月に広島と鳥取で上演したみやざき◎まあるい劇場(※2)の『青空カラー』では、再び宮崎に滞在し、ともに創作をしました。佐藤さんからはずっと、東京で作品づくりをしたいと言われていたのですが、彼女が、遂に本腰を入れてそのプロジェクトを立ち上げたというのが経緯です。
予定としては今年の12月下旬くらいから私が東京に滞在し、5名ほどの東京の俳優たちと作品づくりをする予定です。いつも、宮崎の自然や暮らしなどから大きな手掛かりをもらいながら作品をつくるので、東京で暮らしながらどんな作品が生まれるのか、まだ私にもわかりません。
『島』は、もちろん限られた場所のことでもありますが、夫婦のこととしてもイメージしています。そんな普遍的な男と女、そして人間の歴史の話になるのではないでしょうか。……たぶん。

ー直近では、5月に『桃と詩えば。』の演出(熊本・宮崎)、鳥の劇場『イワンのばか』への台本提供(鳥取)、フェスティバル・ディレクターを務められる「みまた演劇フェスティバル まちドラ!2017」(宮崎)が予定されています。それぞれ、見どころなどを教えてください。

『桃と詩えば。』は、高橋俊行君の戯曲が完成度が高く、行間に込められた土地と人の営みや、その思いが心を揺さぶります。たった二人だけの、短い作品ですが、長い長い時間を感じさせる作品になればと思っています。何よりも、二人の素晴らしい女優の凛とした姿に触れていただきたいと思います。

鳥の劇場の『イワンのばか』は、トルストイですよ。まさかトルストイを手がけるとは思っていませんでしたが、読み直して、現代の日本の政治状況に、というか、社会の中で人々がともに暮らすということに根源的な問いを投げかける作品だと思いました。今回は熊本で農業を営みながらトルストイの研究にその人生を捧げたという北御門二郎さんの翻訳をベースに、歌あり、笑いありの作品にしたつもりです。鳥の劇場の確かな俳優、そして中島諒人さんの演出とともにお楽しみください。

「まちドラ!2017」。はい、おかげさまで6年目になりました。もう三股町の観光ガイドブックにも登録されている「まちドラ!」です。何も考えず、とにかく、その日、三股町においでください。演劇のおまつりです。あ、ただ、体力はつけてきてくださいね。たくさん、町中を歩きますから。
今年は「熊本スペシャル」として、熊本の劇団にたくさん来ていただきます。昨年、熊本と福岡で上演され高い評価を得た劇団きららの『はたらいたさるの話』も上演されますし、不思議少年プレゼンツとして、九州各地の若手俳優の共演となる「スペシャルリーディング」もあります。
お待ちしています。

ー最後に、mola!をご覧の皆さんにメッセージをお願いします。

なんだかインタビューに答えながら、結局は出会った人たちとの縁の中で、こうして演劇を続けさせてもらっている有難さを感じていました。劇場はそんな「出会い」の場所です。私の作品に限らずに、どうぞそんな劇場へと足をお運びください。そしてみなさんの日々が穏やかで健やかであることを祈っています。

ーありがとうございました。

インタビュアー・文責:九州南部駐在員H

※1)まちドラ!
2011年の三股町立文化会館10周年記念町民参加舞台『おはよう、わが町』をきっかけに、翌2012年からスタートした演劇フェスティバル。今年で6回目を迎える。まちなかで「観る」・「書く」・「読む」といった切り口から演劇に出会えるのが特徴。

※2)みやざき◎まあるい劇場
劇団こふく劇場と福祉作業所アートステーションどんこやが2006年に始めた、障害者も参加する演劇プロジェクト。「障害」と呼ばれるものも身体の多様性のひとつととらえ、福祉や芸術の枠組みを超えた劇場体験を提供している。


たんじぇりんね『桃と詩えば。』

作:高橋俊行
演出:永山智行(劇団こふく劇場)
料金:一般1,500円(当日2,000円)
   高校生以下500円(当日1,000円)

【八代公演】
日時:2017年5月5日(金・祝)19:00
        6日(土)11:00/14:00
会場:八代市鏡文化センター(八代市鏡町内田468-1)

【三股公演】みまた演劇フェスティバル『まちドラ!2017』プレドラ!参加作品
日時:2017年5月20日(土)19:00
        21日(日)11:00/15:00
会場:小倉邸(北諸県郡三股町大字樺山3991)

鳥の劇場 2017年度<創るプログラム>『イワンのばか』

原作:L.トルストイ
台本:永山智行
演出:中島諒人
日程:2017年5月19日(金)~22日(月)・25日(木)~28日(日)
会場:鳥の劇場(鳥取市鹿野町鹿野1812-1)

みまた演劇フェスティバル「まちドラ!2017」

日程:2017年5月26日(金)~28日(日)
会場:三股町立文化会館周辺

劇団HIT!STAGE×劇団こふく劇場『境目』ツアー

期間:2017年10~11月
※詳細は後日発表

東京×こふく劇場 『島』

日程:2018年1月24日(水)~28日(日)
会場:こまばアゴラ劇場(東京都目黒区駒場1-11-13)
※詳細は後日発表

【関連サイト】
劇団こふく劇場
たんじぇりんね(Twitter)
三股町立文化会館「プレドラ!」
鳥の劇場
三股町立文化会館「まちドラ2017!」
劇団HIT!STAGE
東京×こふく劇場(Twitter)
2017年度 こまばアゴラ劇場ラインナップ

※情報は変わる場合がございます。正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。

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