飛ぶ劇場『生態系カズクン』製作発表に行ってきた①

2017.08.15

飛ぶ劇場(北九州)が30th anniversary! vol.38『生態系カズクン』(作・演出:泊篤志)を9月8日(金)~10日(日)に北九州市小倉北区室町の北九州芸術劇場 小劇場で、9月18日(月・祝)に都城市北原町の都城市総合文化ホール 中ホールで、9月30日(土)~10月1日(日)久留米市六ツ門町の久留米シティプラザ Cボックスで上演する。

飛ぶ劇場 30th anniversary! vol.38『生態系カズクン』

mola!宛に、飛ぶ劇場から案内状が届いた。今年で劇団創立30周を迎えるとのことで、『生態系カズクン』を14年ぶりに上演するという。その製作発表の案内状が届いたのだ。

なんだか妙な気分だ。仕事柄こういった案内はよく届くんだけど、飛ぶ劇場から届くと「おや、ああそうか、まあそうだよねー」と妙な気分になる。kitaya505(※1)という舞台芸術の制作会社を細々とやりつつmola!の運営なんぞをやっているワタクシ(※2)ではありますが、20何年か前に飛ぶ劇に入れてもらって、十何年か前に飛ぶ劇辞めて、それから今の仕事やることになって、そうこうしてたらある日突然シロヤギさんからお手紙届いた……みたいな。読まずに食べる(シカトする)理由はまったくないので製作発表に出席することにした。

北九州公演の会場でもある北九州芸術劇場のとある一室でそれは行われたんだけど、普段から一緒に仕事している俳優さんが受付していたりで、やっぱり妙な気分。「わー、北村さんだー」とか言われる。ええ、北村さんですよ。だってそちらがご案内くださったんですものね。当たり前だけど、周りにいるのは新聞記者さんとかタウン誌のライターさんとかばかり。mola!も九州の演劇情報を配信している媒体として、記者とかライターの一人として堂々としてていいんでしょうけど、もうなんかね、勝手に居心地が悪いつうか、「自分、今ライターとしてここに居る。むふふ」って半笑いになってしまう。

初演、再演、再々演、再々々演……と公演を重ねて、今回で5回目となる『生態系カズクン』。過去4回は俳優として関わっているんだけど、改めて、えーそんなに上演されてきたの??? という感じ。短い期間でこの演目をもうさんざんやり倒した感覚はあるんだけど、当時はいっつも『生態系カズクン』やってたという印象。いつ、どこでやった公演なのかはっきりしない。そんな作品が、このたび14年ぶりに再々々々演として復活上演となるそうで。14年ですかー、マジ時間経つの早いわ。

劇団代表の泊さんが、劇団のことや作品のことを話す。その話を聞きつつ、今は無きラフォーレ原宿小倉(※3)やスミックスホールESTA(※4)で公演したこと。今ではすっかり運営形態が変わった天神の西鉄ホールでやったこと。東京や長崎や宮崎でやったこと。富山の山奥(※5)でやったこと。夜公演だからと天気のよい日中にビールを飲もうとして後輩に怒られたこと。出演者が衣装の喪服のまま外出してカレーを食べてて、衣装さんが激怒したこと。劇団員とやたら笑ったり喧嘩したりしたこと。打ち上げによくカラオケに行ったこと。BBQやたこ焼きパーティー(※6)をやったこと。劇団にいろんな人が出入りしたこと。この劇団が自分にとっての演劇の入り口だったこと。役者の才能がないってのに気付くのに10年掛かったこと……などを思い出してた。周りの記者さんは記者然とした振る舞いをされてて、んーやっぱなんかそういうのは自分無理、と思った。

泊さんの話が一段落すると、俳優が本作の一部をリーディングしてくれた。14年も経てば劇団員も結構入れ替わるし、入れ替わらなくてもあの時のあの役をそのままできるわけがないし(そのまま同じ役を担っている方もいるようですが)。劇中の一部の短いリーディングだけど、誰がどの役をやるんだろう? こいつ誰??? みたいなのを楽しむ。初演から20年以上経っているのに、「あ、この時はこういった感覚でセリフを吐いた」みたいな作品に対する直接的な記憶から、「あの時は誰それとこんなことがあった」みたいなことまで、いろんな記憶が蘇る。そんなことに一喜一憂してた中、ある気付きがあった。

『生態系カズクン』という戯曲は、とある家の一室での家族や親類縁者のやりとりを描いているだけなんだけど、そこでの事象だけではなくて、そこにいない人や家の外の地域社会などの見えないあれこれを直接書かずとも繊細に、豊かに描いてる戯曲なんだなと。んー、よくできてる戯曲だ。そういったことを当時はまったく読み取れてなかったぞ。あの当時のワタクシは与えられた役のセリフを覚えて目の前の登場人物に対してなんとなく、それっぽく勝手一生懸命やってただけだった。……俳優としての本来のお勤めのようなことはほとんどどできていなかったなあ。嗚呼南無阿弥陀仏、今さら気付いてどうすんべ? はずかしいが穴はないので入れないし、後悔もできない。

そんなこんなな遅すぎる発見をして、さてさてmola!の記事どうしようかしらとかぼーっと考えてると「何か質問を」と泊さんからキラーパスが飛んできた。内心「お互いいろいろありましたね、ははは」とか言いたかったが、それじゃあ質問にならんので、考えた挙句にどうでもいいことを言ってしまい、結果的にキラーパスをスルーパスした。自分、むかしからこんな感じなんすよね。

飛ぶ劇場の『生態系カズクン』に関する記事というより、この機会にワタクシ一個人のこれまでを、飛ぶ劇場と一緒に振り返る。次回はそんな記事を書きたいと思いまーす。あ、30周年おめでとうございます。

構成・執筆:北村功治(kitaya505)

※1)kitaya505
合同会社kitaya505。北九州にある小劇場の舞台芸術などに特化した企画・制作を行なう、儲かる要素のまったくない会社。儲かる要素のまったくないmola!の運営も行なっている。

※2)ワタクシ
北村功治。kitaya505の社長。飛ぶ劇場の元俳優。身長186cm、体重98kg。尿酸値が高い45歳。

※3)ラフォーレ原宿小倉
かつて原宿ではなく小倉にあった、おしゃれ発信地。1993年オープン、2007年閉店。現在はあるあるCityとなっており、劇場としても使用されていたミュージアムスペースは、現在ホログラムシアターとして稼働している。

※4)スミックスホールESTA
1992年にオープン、2009年に惜しまれながら閉館した、小倉駅裏にあった民間劇場。北九州芸術劇場ができる前は、この劇場が北九州の演劇のメッカであった。

※5)富山の山奥
『生態系カズクン』は2000年に、富山県東礪波郡利賀村にある利賀芸術公園でも上演した。

※6)たこ焼きパーティー
飛ぶ劇場に所属していた当時、劇団で親睦会と称してよくたこ焼きパーティーをしていた。


出演は、桑島寿彦、内山ナオミ、木村健二、葉山太司、脇内圭介、中川裕可里、宇都宮誠弥、佐藤恵美香、太田克宜、文目卓弥、青木裕基、はまもとゆうか(大帝ポペ)。

お問い合わせは、飛ぶ劇場info@tobugeki.com、都城市文化振興財団0986-23-7140(宮崎公演のみ)まで。


飛ぶ劇場 30th anniversary! vol.38『生態系カズクン』

作・演出:泊篤志

【北九州公演】
日時:2017年9月8日(金)14:00★/19:00★
        9日(土)14:00/18:00★
       10日(日)14:00
   ★…アフタートークあり
会場:北九州芸術劇場 小劇場(北九州市小倉北区室町1-1-1-11 6F)
料金:一般2,800円(当日3,000円)
   学生1,800円(2,000円)
   高校生以下1,000円(1,200円)

【宮崎公演】
日時:2018年9月18日(月・祝)14:00
会場:都城市総合文化ホール 中ホール(都城市北原町1106-100)
料金:一般2,300円
   高校生以下1,000円

【久留米公演】
日時:2018年9月30日(土)18:00★
      10月1日(日)14:00
   ★…アフタートークあり
会場:久留米シティプラザ Cボックス(久留米市六ツ門町8-1)
料金:一般2,800円(当日3,000円)
   学生1,800円(2,000円)
   高校生以下1,000円(1,200円)

【関連サイト】
飛ぶ劇場
飛ぶ劇場情報局
飛ぶ劇場(Twitter)

飛ぶ劇場 30th anniversary! vol.38『生態系カズクン』

※情報は変わる場合がございます。正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。

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