飛ぶ劇場『生態系カズクン』製作発表に行ってきた②

2017.08.20

飛ぶ劇場(北九州)が30th anniversary! vol.38『生態系カズクン』(作・演出:泊篤志)を9月8日(金)~10日(日)に北九州市小倉北区室町の北九州芸術劇場 小劇場で、9月18日(月・祝)に都城市北原町の都城市総合文化ホール 中ホールで、9月30日(土)~10月1日(日)久留米市六ツ門町の久留米シティプラザCボックスで上演する。

8月某日。電車に揺られて『生態系カズクン』の稽古を見学しに戸畑生涯学習センターというところに行ってきました。北九州や福岡のほとんどの劇団って、飛ぶ劇場と同じように自前の稽古場を持っていないので、地域の公民館や市民センターなどの公共施設を転々としながら作品づくりをしているんだけど、これって全国的な傾向なのかしら? 最近、長崎や熊本、宮崎では小さな公演ができるアトリエ兼稽古場を所有してる劇団さんもいるとのことで羨ましい。

清龍

戸畑駅に着いて、徒歩で戸畑生涯学習センターに行くかと思いきや、裏の「清龍」ってラーメン屋で、稽古見学前の腹ごしらえ。ここのラーメン屋さん、来店すると2cm×4cmサイズの朱書きの「清龍」文字の入った紙切れをくれる。なんと、その紙切れを10枚集めるとラーメン1杯がタダになるのだ。察しのよい方はもうおわかりと思うが、ワタクシ、「稽古見学」と称してここのラーメンを喰らいに来たのだ。なので、とりあえず清龍にてラーメン。店員さんに紙切れ10枚見せて「これでラーメンが食べれるのかね?」と質問。「ラーメンの方でよろしいですか?」と返答される。

「ラーメン以外でもいいのかね?」
「差額はご負担」
「では、チャーシュー麺!」

以上のやり取りで、まんまと+230円搾取される。「ラーメンの方」の「方」って表現に引っかかる。もしかしたらラーメンの方を頼んでたら、ラーメンではなくって「ラーメンの方」が出てきてたかもしれないのかい? いやいや、そもそも「ラーメンの方」でなく「ラーメン」の「方」なのか? ラーメンぽい? ラーメン寄り? ラーメンの周辺? ラーメンの向こう側? ラーメン方面? などなど、「方」とは、なにかしらのなに??? とか考えてたら頼んだ「チャーシュー麺」が目の前に届いた。

ラーメン

……しまった。ラーメンの方が気になってて、固麺にするの忘れてた。九州男児としては憤死に値する失敗を犯してしまった。これ以上麺がやわらかくならないよう、超速&半泣きでチャーシュー麺をすすって稽古場へ。

戸畑生涯学習センターの一室では、すでに『生態系カズクン』の稽古が行われていた。稽古開始からまだそんなに日は経っていないと思うけど、思った以上に台詞は入っている。仕事柄いろんな稽古場にお邪魔するんだけど、「和気あいあいとしているがモチベーションは高い」ってのが感じられる。さすが創立30年を迎える劇団さんだ。ただし、台詞はそこそこ入っているんだけど、この芝居「棒ヶ削(ぼうがずり)」って架空のど田舎が舞台となっているので、その土地の方言(※1)をしゃべらないといけない。これがやっかいなんよね。20年前の初演の時は、ワタクシ「方言を覚える」ってのに終始してしまいまして、「そのイントネーション違う」とか方言指導の劇団員に言われて「そんなんわーわー言われたら気持ちが乗らんやんけ! 自由に演技させろや!!!」てなってイライラMAXだった。初演は、方言覚えるために稽古したような感じだった。で、目の前には今回初めて「棒ヶ削」の住人となる方が数人いらっしゃるわけで、そのひとが過去のワシと同様にと言いますか当然と言いますか、「方言」に苦労していらっしゃる。内心「大変だろうなぁがんばれ~」とか思いながら「イライラしとるでぇ苦しめ~」とも思う。ドSですね。一方、経験者である諸先輩たちは、10何年前の作品だろうがスラスラ再現していらっしゃる。一度身体に入った台詞は抜けないのね。

そういえば、『生態系カズクン』の雰囲気を体感しようぜってことで長崎の島原で合宿のようなこともしたなぁ。日本各地でやってる灯篭流しってのあるじゃないすか。あれのね、島原地方のやつを体験したんだけど、長崎や島原のはかなりおそろしい、おかしいことになってて。広島出身のワタクシとしましては、死者をおごそかに送り出す……そんな灯篭流しを想像してたんですけど、あの灯篭流しは完全にテロでしたね。小倉のヤンキーが最近となりの公園で爆竹鳴らしておまわりさんに怒られてたけど、あれで怒られるんなら、長崎や島原の爆竹は即刻逮捕レベルですよ。爆竹鳴らすってか爆竹箱のまんま燃やすみたいな感じ。パンパンパン!! ババババ!!! じゃなくて、ドド! バババ! ドガドババ!!、ガガ!! バドガ!! バドガ!! って。灯篭つってるあれも、全然灯篭じゃなくって普通の船だし。ポリネシアあたりの丸太くりぬいて作った漁船より立派だもん。あと皿うどんって長崎ではお祝いごとで出前取って大皿で食べたりするってのもこの時知ったし、島原の地ビールは美味かったし、雲仙温泉の露天風呂絶景だったなぁとか思い出したりした。遊んでる思い出ばかりだ。

飛ぶ劇場に入団したのはたぶん94年頃。もう23年も前なの? ひえー。たぶんってあやふやな表現なのは、気付いたらいつの間にか劇団に居ついてたから。「あなた劇団員!」とは言われてない気がするけど劇団費は払ってたからたぶん劇団員。前年に妻(※2)が飛ぶ劇場に客演してて、妻はなんとなくそのまま次の公演にも出演することになって、そしたら急に「ケイコニイッテキマス」という呪文を妻が唱えるようになって、その呪文唱えたらなかなか家に帰って来なくなって、演劇のことなんてまったく知らない20歳ちょいの男の子としては「マイニチドコイッテマスカ? サビシイネ」てなって、寂しさ紛らすために劇団の飲み会にお邪魔して「仲間に入れてよ」って言ってみたら「いいよ」みたいな流れに。それが93年に天神のイムズホールで上演されたvol.9『10000光年のまにまに』の打ち上げかなんかのときのことで、94年のvol.10『元祖カラオケの天才の息子』って公演でなんかお手伝いをしてて、95年のvol.11『UFT 未確認飛行舞台』で舞台に立ってた。

「寂しいから」って理由で演劇に関わった輩が、今や日本の小劇場演劇を支える企業の社長となっているのだ。あの時の飛ぶ劇場はワタクシを迎え入れるというマジいい選択をしたね。これからの日本を支える原動力は「寂しさ」だね。「寂しさ産業」とか「寂しさビジネス」。喪黒福造(※3)じゃないけどさ、「貴方のココロの隙間を演劇で埋めます、ドーーーン!!!!」ですよ。

……飛ぶ劇の話をします。

そんなこんなで、晴れて夫婦共々どさくさに紛れて劇団員になった。旧門司税関(※4)てところでvol.12『ジ エンド オブ エイジア』(※5)という、ゴワザームって架空の国の山小屋でのお話をやったり、別冊公演『うっかり博士の異常な愛情』ってコント公演で、山で拾ったクリを海に撒き、海で拾ったウニを山に撒くおじいさんの役(※6)をやったりした。有門正太郎くんが入団したのがこのころで、ウソかホントか知らないが、このコント公演を観て「俺の居場所はココだ!」と思ったらしい。後に九州を代表する俳優となる男をその気にさせたのが「山で拾ったクリを海に撒き、海で拾ったウニを山に撒くおじいさん」だったとしたら実にうれしく誇らしいことだ。有門くんは妙に馴れ馴れしいってかフレンドリーで、すぐに誰とでも仲良くなったなぁ。その効果か知らないけど、97年初演のvol.14『生態系カズクン』で、いきなりの主役となっていた。そんな彼、今回の『生態系カズクン』には出演しないんだな。今回、有門くんがどの役をやるのかなって期待や興味は少なからずあったんだけど。初演のメンバーで今回も舞台に立っているのは劇団の名誉会長である桑島さんだけ。その桑島さんも当時とは違う役となった。20年という時間を感じるねぇ。翌年のvol.15『冒険王98』では、寺田くんや内山さんが入団したなぁ。当時北九州は「北九州演劇祭」(※7)てのが毎年開催されてて、「演劇の街、北九州」て感じの盛り上がりがすごくあった。寺田くんはこの「北九州演劇祭」の5周年特別企画合同公演『アリスな出来事』で出会ったんだった。ワタクシの勝手な記憶なんだけど、このころって北九州全体が「演劇! 演劇!」ってなってて、飛ぶ劇場だけでなくいろんな劇団も盛り上がってて、そんな空気も影響してか、ただただ楽しく演劇を満喫していたという記憶しかなくて、「演劇に向き合う」とかそんなんゼロで、演劇でどうにかなりたいとか当時考えたことないワタクシでも、舞台に上がれば、なんだかやれてる感が味わえるって状況だったんだろうなぁ。いやぁ、楽しい記憶しかない。

とかなんとかな記事を書いてまして、スマホで撮った稽古写真をいざ掲載しましょうって時に、すべて削除(※8)していたのに今気付きました……絶句……そこそこ美味しいチャーシュー麺を食べに行っただけになってしまった……南無。

あ、「山で拾ったクリを海に撒いて、海で拾ったウニを山に撒くコント」を観て飛ぶ劇場に入った有門君と、「山で拾ったクリを海で撒いて、海で拾ったウニを山に撒くコント」をやったワタクシと、「山で拾ったクリを海で巻いて、海で拾ったウニを山に撒くコント」の演出をした泊さんと、9日18時の回、アフタートークしますよ。

構成・執筆:北村功治(kitaya505)

※1)その土地の方言
初演~再々々々演は長崎の島原地方がベース、今回は長崎の西海市周辺地域がベースとなっている。

※2)妻
北村加奈子。合同会社kitaya505の副社長で、元飛ぶ劇場の劇団員。『生態系カズクン』には初演~再々々演まで出演。

※3)喪黒福造
藤子不二雄Ⓐ原作のブラックユーモア漫画『笑ゥせぇるすまん』の主人公。

※4)旧門司税関
北九州市旧門司税関。北九州市門司区の門司港地区にある歴史的建造物を復元した建築物。かつて北九州演劇祭の折によく会場として使われていた場所のひとつ。

※5)vol.12『ジ エンド オブ エイジア』
泊篤志が学生時代にチベット旅行した体験を基に描いた、架空の小国「ゴワザーム」の山小屋での物語。日本語で書かれた現地人がしゃべる言葉「ゴワザーム語」は劇団で創作した。

※6)山で拾ったクリを海に撒き、海で拾ったウニを山に撒くおじいさんの役
『うっかり博士の異常な愛情』で上演されたコント「ウニとクリ」で北村が演じた役。この時の小道具「ウニ」と「クリ」も北村が爪楊枝と紙粘土、プラカラーで製作。出来た「ウニ」と「クリ」の先端は鋭利過ぎたため軍手を装着しないと扱えないほどであった。

※7)「北九州演劇祭」
1993年~2007年まで北九州市で開催された演劇祭。

※8)すべて削除
最近スマホがフリーズしまくるので、ショップに持って行ったら各種データを消去された。


出演は、桑島寿彦、内山ナオミ、木村健二、葉山太司、脇内圭介、中川裕可里、宇都宮誠弥、佐藤恵美香、太田克宜、文目卓弥、青木裕基、はまもとゆうか(大帝ポペ)。

お問い合わせは、飛ぶ劇場info@tobugeki.com、都城市文化振興財団0986-23-7140(宮崎公演のみ)まで。


飛ぶ劇場 30th anniversary! vol.38『生態系カズクン』

作・演出:泊篤志

【北九州公演】
日時:2017年9月8日(金)14:00★/19:00★
        9日(土)14:00/18:00★
        10日(日)14:00
   ★…アフタートークあり
   8日(金)14:00 守田慎之介(演劇関係いすと校舎)、泊篤志
   8日(金)19:00 飛ぶ劇場劇団員
   9日(土)18:00 北村功治(kitaya505)、泊篤志、有門正太郎
会場:北九州芸術劇場 小劇場(北九州市小倉北区室町1-1-1-116F)
料金:一般2,800円(当日3,000円)
   学生1,800円(2,000円)
   高校生以下1,000円(1,200円)

【宮崎公演】
日時:2018年9月18日(月・祝)14:00
会場:都城市総合文化ホール 中ホール(都城市北原町1106-100)
料金:一般2,300円
   高校生以下1,000円

【久留米公演】
日時:2018年9月30日(土)18:00★
      10月1日(日)14:00
   ★…アフタートークあり
会場:久留米シティプラザ Cボックス(久留米市六ツ門町8-1)
料金:一般2,800円(当日3,000円)
   学生1,800円(2,000円)
   高校生以下1,000円(1,200円)

【関連サイト】
飛ぶ劇場
飛ぶ劇場情報局
飛ぶ劇場(Twitter)

※情報は変わる場合がございます。正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。

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