アゴラ初登場の世界劇団×演劇集団非常口対談!

2018.05.15

愛媛県東温市を拠点に活動する世界劇団と、鹿児島県伊佐市を拠点に活動する演劇集団非常口がこのたび、東京・こまばアゴラ劇場に初登場する。東温市と伊佐市という同規模の地域から東京に進出する2劇団。世界劇団主宰:本坊由華子と演劇集団非常口代表:島田佳代の対談を行った。

世界劇団 2018秋ツアー『さらばコスモス』

世界劇団 2018秋ツアー『さらばコスモス』

「世界の成り立ちはどこから?」
昔々、人々は想像した。神話を生み世界を創った。
ある日事件が起きる。三人家族の父親が殺された。死体の頭は真っ二つに割られていた。
娘と母親、事件を追うジャーナリスト、死体を解剖する医者。真実を究明する四人と空想の神々がリンクしていく。
人間の根源、社会の構造、医学の真実を神話をモチーフに描く。
身体と音と言葉の嵐。総合芸術を劇場空間で体感あれ。

演劇集団非常口 第19回公演『鱗の宿』

演劇集団非常口 第19回公演『鱗の宿』

童話作家・石渡哲司は失踪同然で鱗島へ移り住んだ。
鱗島には人魚の鱗を祀った「お人魚堂」があり、深い溜池があった。
「鱗祭り」を翌日に控えた夏の午後、石渡の妻・美枝子が島を訪れる。やがて、祭りの熱気に酔うかのように、石渡夫妻をとりまく島民の事情が浮かび上がってくる。
穏やかな島の暮らしと、人々の奥に潜む痛み。それらはいつも、波のように打ち寄せてはひいていく。
小さな島、小さな夏のお話。

ー今回、世界劇団と演劇集団非常口という、地域で活動する2劇団がこまばアゴラ劇場に初登場、それに弊社(kitaya505)が制作協力をするということで、この2劇団の対談をすることになったのですが。まずはお互い初めましてなので自己紹介から始めましょうか。

本坊 世界劇団の本坊です。愛媛大学医学部演劇部が母体となってます。大学2年の時に先輩たちがやってるのを見て演劇部に入りました。今はそこから劇団化して、劇団員は6名程度。身体表現を特徴とした作品をしてます。あと、私は鹿児島県鹿児島市出身です! 高校生まで鹿児島で、大学で愛媛に来ましたー。
島田 演劇集団非常口の島田佳代です。鹿児島県伊佐市で活動しています。高校のとき演劇部で、劇団は2001年に旗揚げしました。いま劇団員は11人です。うち3人は休団してますが。本坊さん鹿児島のご出身なんですね!
本坊 伊佐市! すごい! 伊佐に劇団があったなんて知りませんでした!
島田 2001年から今日まで伊佐市でただひとつの劇団です(笑)。
本坊 鹿児島に帰って就職するか迷っていたころ、鹿児島の演劇事情をネットで調べていたら非常口さんの名前が出て来たのを覚えています! 存在は知っていたのですが、観たことはなくていつか観たいと思ってました!
島田 わ、ありがとうございます。うれしいです!
本坊 「鹿児島」「演劇」で検索したら、非常口さんだけしかヒットしませんでした(笑)。鹿児島に非常口さん以外に劇団ってありますか? 鹿児島の劇団観たことなくって……。

ー市内にはいくつかありますよね。

島田 鹿児島市内にいくつかありますし、知覧(※1)にもありますよ。

ー知覧にもあるんだ! 全員鹿児島出身(※2)なので地理的な話が早いですね。

※1)知覧
鹿児島県南九州市にある町。知覧特攻平和会館や武家屋敷があり、また、お茶でも有名な観光名所として知られており、「薩摩の小京都」とも呼ばれている。

※2)全員鹿児島出身
本坊・島田とインタビュアーの藤本は全員鹿児島出身。本坊と藤本は生まれ育った町も同じで、同じ小学校に通っていたことがわかった。

本坊 知覧!
島田 劇団いぶきさんといって、確かもう40年くらい活動されていると思います。
本坊 いつか鹿児島で凱旋公演したいと思っているんですが、鹿児島に劇場はありますか?
島田 わたしが知る範囲では、鹿児島には劇場っぽいのはないですね。鹿児島市内の劇団さんは中央公民館での公演が多い気がします。非常口は主に伊佐市文化会館で公演しています。大ホールがキャパ1200席くらいあって大きいので、舞台上だけ使って小劇場空間を作ってる感じです。それでも客席は80席くらい作れます。観に来てくださるのは主に伊佐市民の方々が多く、年齢層高めのお客様が多いです。
本坊 世界劇団は愛媛県松山市のシアターねこという劇場を拠点にしています。こまばアゴラ劇場や三重の津あけぼの座と同じ劇場支援会員制度の適応となっている劇場です。今回は、その3つの劇場を回る三都市ツアーを行います。シアターねこは、むかし幼稚園だった建物を改装したキャパ70席程度のブラックボックスです。去年の公演は動員240人くらいでした。大学生〜観劇ファンの中高年の方々、演劇関係者が観に来ることが多いですね。

ー世界劇団の拠点の東温市も非常口の拠点の伊佐市も行きましたが、市の規模としては同じくらい(※3)なんですよね。非常口さんも動員200〜250くらいとかですか?

島田 そうですね。3回公演してそれくらいです。
本坊 山と川と大学病院くらいしかない田舎です。あ、最近東温市に劇場ができました(※4)。

※3)市の規模としては同じくらい
愛媛県東温市は人口約35,000人、鹿児島県伊佐市は人口約25,000人。両市とも平成の大合併でできた。

※4)最近東温市に劇場ができました
今年4月に「東温アートヴィレッジセンター」がオープン。商業施設の一角に小劇場・稽古場・多目的スペースができた。

ー大体市民の100人強に1人くらいが観劇してるという感じですね。自分たちの思う自劇団の知名度ってどんな感じですか?

本坊 地元ではあまり知られていません。東温市民はほとんど観に来たことがない人ばかりだと思います。上演する劇場が隣の松山市だというのも要因ですが、地元に根付いた劇団ではないですね。演劇関係者には知られているんじゃないかと思っているんですが……。
島田 伊佐市は山に囲まれた人口2万6千人くらいの町です。曽木の滝が自慢です。昔と比べたらだいぶ知ってくださってる方が増えてきてます。でもまだまだかなあ……。

ーそれぞれの団体の印象として、非常口は地域に根ざした活動を行う、世界劇団は積極的に外に出ていくという感じがするのですが、そのへんどうですか?

島田 ですね、地域に根ざしてます。この地あっての表現をやってる気がします。
本坊 確かに外に出て行く傾向が強いかもしれません。劇団員に愛媛県民がいないんですよ。鹿児島、福岡、香川、兵庫、広島出身と、他県出身者の集まりなのも、地域に根ざしていない理由かもしれません。

ーなるほど! 非常口さんはみなさん伊佐市出身の方ですか?

島田 11人中8人は伊佐市出身です。
本坊 すごい!! 私たちにとって東温市は作品をつくる場所、大学がある場所、職場がある場所なんですよね。演劇作品は四国より外に向かって発信している気がします。東温市の人にも知られるようになりたいなあ……。

ーそういうのが団体の方向性とか作風とかに影響及ぼすみたいなことを具体的にイメージしたことがなかったなあ。みなさん普段稽古はどこでやってるんですか?

島田 地域の青少年センターとか、文化会館の練習室とかです。
本坊 大学のキャンパス内です。

ー大学使えるのいいですね。大学だと時間は何時までとか関係ない感じですか?

本坊 24時まで使えるので、24時まで稽古してます(笑)。

ーいいなあ! 青少年センターだと21時とか22時とかまでですよね?

島田 22時ですね。

ー稽古って21:30くらいからいい感じになってきません?

本坊 なりますね!
島田 ですです!(21:30過ぎに)あ、時間が……あーまた次に……ってなります。集まってアップ済ませて本格的な稽古が始まるのが20時ごろからなので、22時はあっという間に来ちゃいますね。

ー漠然とした質問ですが、おふたりはどんな作風ですか?

島田 狭い地域の人間関係を描く、みたいなのが多いかもしれません。

ー舞台は伊佐市をイメージしたものが多いですか?

島田 多いです。わたしが伊佐市以外で暮らしたことがないせいもあると思います。いつも見てきた、今も見てる風景みたいなのは作品に影響してます。
本坊 狭い地域の人間関係……伊佐市の生々しさがありそうですね……すごく観たいです……。世界劇団は身体表現の強いダンサブルな作品と言われることがあります。台詞のやり取りよりも身体で語ることを意識しているかもしれません。舞踏家の人に出演してもらうことが多々あります。
島田 世界劇団さん見たいです! 気になります!
本坊 伊佐市で暮らして伊佐市の方々が演じて伊佐市民の方々が観る。ものすごく純粋に大切に育てられた表現のような気がします。特殊な演劇が育ちそうですね……興味があります!

ー同じ鹿児島出身でも、作風にはっきり違いが出てるのがおもしろいですね。

本坊 (身体表現の強い方向に行ったのは)私は台詞を喋るよりも踊ることの方が好きだから、でしょうか。ミュージカルとかあんまり観ないんですけど……舞踏は好きです。やったことはありませんが、ダンスが舞踏っぽいと言われることはあります。演劇の稽古を始めると身体が筋肉質になって体重が落ちますね……。
島田 ぜひ見てみたいです。セリフ少ない感じですか?
本坊 セリフは少ないかもしれません……。身体で語れる言葉はなるべく削ぎ落とすようにしています……。

ー島田さんは戯曲賞に応募(※5)されたりしてて、言葉を重視してる感じがしますが、おふたりの作風は対照的といえるかもしれませんね。

島田 言葉では追いつかないことって確かにありますよね。身体で語るって、正直な気がします。言葉の力を借りずに押し出される表現。強さも感じます。見たいなあ! お話を伺ってると、世界劇団さんはダイナミックで、どこまでも広がっていくような印象を受けます。非常口とは対照的かもしれません。「地域」といっても、それぞれ個性は違ってくるし面白いなあ。
本坊 確かに、島田さんがおっしゃるようにダイナミックとはよく言われます。同時に「なんだかよくわからない」とも言われます(笑)。

※5)島田さんは戯曲賞に応募
島田は第三回九州戯曲賞で大賞を受賞、第1回北海道戯曲賞で優秀賞を受賞するなど、戯曲賞でも評価を得ている。

ー今度アゴラで上演するのはどういう作品ですか?

本坊 『さらばコスモス』という作品を上演します。昨年、松山、広島、北九州と上演した作品を改変して上演する予定です。神話をモチーフに世界の誕生を描けたらいいなと思います。
島田 今回上演するのは『鱗の宿』という作品です。主に鹿児島のイントネーションで語られる物語です。地域の、伊佐の匂いを感じていただけたらうれしいなと思います。
本坊 鹿児島のイントネーションって独特ですよね……。大河ドラマの「西郷どん」も、全国の人に通じてるのかなって不安に思います(笑)。東京の方々にとってはかなり特殊な言語で興味深いんじゃないんでしょうか。伊佐市ならではの演劇、というのは意識して創っていますか?
島田 あまり意識してはいないんですが、どうしても土地の影響を受ける気はします。作品に閉塞感があると言われます(笑)。
本坊 土地や環境が伊佐市ならではの演劇を育てるんでしょうね! 今年のツアーは「なんだかよくわからない、でもすごい」というところまで目指したいです(笑)。
島田 「なんだかよくわからない、でもすごい! ほんと、見たいです。体験したい! 非常口は言葉も含めて味がある作品だと思って見てもらえるようにがんばりたいです。

ー西郷どんで鹿児島に注目が集まってる年なので、興味持ってもらえそうですね。

島田 西郷どん効果で(笑)。

ーでは、このあたりで終了にしたいと思います。ありがとうございました!

2人 ありがとうございました!!


世界劇団 2018秋ツアー『さらばコスモス』

作・演出:本坊由華子

【三重公演】
日程:2018年9月15日(土)〜16日(日)
会場:津あけぼの座(三重県津市上浜町3-51)
料金:一般2,000円
   U22 1,500円(当日各500円増)

【東京公演】
日程:2018年9月22日(土)〜24日(月)
会場:こまばアゴラ劇場(東京都目黒区駒場1-11-13)
料金:一般2,500円
   U22 2,000円(当日各500円増)

【愛媛公演】
日程:2018年10月6日(土)〜7日(日)
会場:シアターねこ(愛媛県松山市緑町1-2-1)
料金:一般2,500円
   U22 2,000円(当日各500円増)


演劇集団非常口 第19回公演『鱗の宿』

作・演出:島田佳代

【東京公演】
日程:2018年11月15日(木)~18日(日)
会場:こまばアゴラ劇場(東京都目黒区駒場1-11-13)
料金:一般2,000円
   U23(23歳以下)1,500円(当日各500円増)
   ぺアチケット(前売のみ)3,500円

【伊佐公演】
日程:2018年11月23日(金)~24日(土)
会場:伊佐市文化会館(鹿児島県伊佐市大口鳥巣305)
料金:一般1,500円
   U23(23歳以下)1,000円(当日各500円増)

【関連サイト】
世界劇団
演劇集団非常口

※情報は変わる場合がございます。正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。

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