『三文オペラ』永山智行×『関門オペラ』田坂哲郎対談

2018.06.15

宮崎県立芸術劇場(宮崎)が「演劇・時空の旅」シリーズ#8『三文オペラ』(作:ベルトルト・ブレヒト、演出:永山智行)を6月22日(金)~24日(日)に宮崎市船塚のメディキット県民文化センター 演劇ホール舞台上舞台で、非・売れ線系ビーナス(福岡)が第24回公演『関門オペラ』(脚本・演出:田坂哲郎)を8月19日(日)に筑紫郡那珂川町仲のミリカローデン那珂川文化ホールで、9月14日(金)~15日(土)に下関市細江町の下関市生涯学習プラザ DREAM SHIP 風のホールで上演する。

宮崎県立芸術劇場プロデュース 「演劇・時空の旅」シリーズ#8『三文オペラ』

『三文オペラ』は、2008年より宮崎県立芸術劇場が製作してきた「演劇・時空の旅」シリーズ最終作。2016年に公演が予定されていたが、権利関係で中止となっていた。「演劇・時空の旅」シリーズでは九州にゆかりのある俳優と永山智行の演出で、過去7本が製作された。

 非・売れ線系ビーナス 第24回公演『関門オペラ』

非・売れ線系ビーナスの2年ぶりの本公演として上演される『関門オペラ』は、「演劇・時空の旅」に出演経験のある田坂哲郎が、『三文オペラ』にインスピレーションを受けて創作する作品。「三文」と「関門」ふたつのオペラについて、永山智行と田坂哲郎に語ってもらった。

ーまず、田坂さんに質問です。今作『関門オペラ』ってどのような作品ですか?

田坂 関門オペラは、平家物語を下敷きにしています。平清盛が死んだあと、三男宗盛が総大将を継いでから、源氏によって都を追われ、壇ノ浦の戦いで滅亡するまでを描きます。愚将と呼ばれた宗盛は、本当に愚かで卑怯なだけの男だったのか? 戦場において「生きたがった」宗盛に、むしろ現代の私たちは見るべき部分があるんじゃないのか? というようなお話です。

非・売れ線系ビーナス 第24回公演『関門オペラ』

独裁者だった平清盛の死後、三男宗盛は新総帥として平家の建て直しをはじめる。しかし、命を大事にしたい宗盛の言動は、武士のプライドを重んじる一族たちの目には卑怯で貧弱に映る。一方、源義経は命知らずな戦法を次々成功させ、宗盛達を追い詰めていくのだった。生きるために何を賭けるか。愚将と呼ばれた平宗盛の、最後の悪あがきがはじまる。
ポップな楽曲にのせながら、現代の視点で「愚将」を描く、非・売れ線系古典ミュージカル!

ー『三文オペラ』との関連はありますか?

田坂 着想のきっかけは、完全に「演劇・時空の旅」シリーズの『三文オペラ』です。14+の村上さん(※1)としゃべってるときに、自分たちは二人とも「時空の旅」の『シラノ・ド・ベルジュラック』(※2)再演だけど初参加組だったので、次は新作に出たいよね、という話をしていて。その流れで『三文オペラ』うらやましい、という話になった時に、じゃあ俺たちは『関門オペラ』をやりましょうよ、と。ほんとに口からぽろっと出たのが一番最初です。だから今回村上さんにもオファーしたんですが、公私多忙のためダメでした。今回福岡公演だけ「歌うエキストラ」という市民参加枠がある(※3)のですが、これもきっかけは時空の旅の『三文オペラ』です。今回同じようなタイミングで『三文オペラ』が上演されるのは、もう運命に違いないと思っています。

※1)14+の村上さん
福岡の劇団、14+の村上差斗志。

※2)『シラノ・ド・ベルジュラック』
フランスの剣術家であり作家、哲学者、理学者でもあるシラノ・ド・ベルジュラックを主人公とした、恋愛物語の名作。エドモン・ロスタンが戯曲を執筆し、1897年に上演された。2010年と2014年に「演劇・時空の旅」シリーズ#2と6で上演された。

※3)福岡公演だけ「歌うエキストラ」という市民参加枠がある
福岡公演では市民に演劇を楽しんでもらうことを目的として、歌や簡単な踊りを行うエキストラを募集している。募集締め切りは6月26日(火)。

ー運命ですか。

田坂 『三文オペラ』公演おめでとうございます。公演中止からの今回の公演、永山さんとしては、どのようなお気持ちでのぞんでらっしゃいますか? 僕は勝手に、再演とも新作とも違うような感触だったりするのかな? と思っているのですが、いかがですか?
永山 そうですね、田坂くんの言うとおり、再演とも新作とも違う、不思議な感触で稽古しています。ですが、やはり前回の稽古期間があり、上演はできませんでしたが、ある形までは仕上がっていたので、今回は、そこを思い出しつつ、さらに俳優たちの現在の体を大事にしながら稽古しているので、その意味では、稽古期間に2年半をかけた新作というような感覚かもしれません。

ーなぜ『三文オペラ』を上演しようと思ったのでしょうか?

宮崎県立芸術劇場プロデュース 「演劇・時空の旅」シリーズ#8『三文オペラ』

窃盗団のボス・メッキ―スは名うての悪党で女たらし。そんなメッキ―スが突然、乞食商売の元締めピーチャムの一人娘ポリーと、コッソリ結婚式を挙げてしまう。腹を立てたピーチャムは、警察を使いメッキ―スを捕まえる計画を立てる。危険を察知して身を隠したメッキ―スだが、かつての恋人で娼婦のジェニーに裏切られ、あえなく逮捕されてしまうのだった。
恋人にも子分にも親友にも見捨てられたメッキ―ス。迫り来る処刑の時。絶体絶命のメッキ―スを待ち受ける、驚くべき「運命」とは?

永山 この「演劇・時空の旅」シリーズは、古典戯曲を上演するシリーズなのですが、その中でも喜劇性のある作品を選ぶようにしています。また、毎回、ミュージシャンの方にご協力いただき、音楽もなるべく生演奏を基本としています。そんな条件の中、ブレヒトのこの音楽劇はシリーズ最後の作品にふさわしいんじゃないかと考えるようになりました。改めて読んでみると、ナチスの台頭で、ブレヒト自身が亡命を余儀なくされつつある時代に書かれたテキストは、なんだか今のこの国の現状に重なる部分も多いと感じました。
田坂 チラシの「誰も死ぬな、みんな生きろ。」ってキャッチ、とてもかっこいいと思います。こういうのって、永山さんがお一人で決めるんですか?
永山 そうですね、任せていただいているので。今回の『三文オペラ』も、まるでマンガのようなふざけた展開なのですが、でもその中で、ブレヒトが必死にペンを握りながら、そう言ってる気がして、こんなキャッチにしてみました。
田坂 『三文オペラ』、今後宮崎以外での公演予定はないんですか?
永山 いまのところはありません。なので、これまで8作品続けてきた「演劇・時空の旅シリーズ」も今回の上演がファイナルとなります。これまでシリーズに参加していただいたみなさん、応援してくださったみなさんにぜひその最後を見届けていただけたらと思っています。あ、もちろん、再演『シラノ』チームの田坂くんは観に来てくれると思いますが。

ー田坂さんからの質問ばかりなので、永山さんからも訊きたいことがあれば。

永山 ……田坂くんにとって、演劇においての「音楽」ってどんな役割があると思いますか?
田坂 うわ、難しい質問ですよね、これ……。かっこいいこと言って、バシッと決めたい(笑)。音楽って、記憶と密接に結びついてますよね。誰にでも思い出の音楽ってあると思うんです。僕は、自分の作品を観た人にはなにかしら覚えていてほしいし、それは台詞ひとつとか、俳優の表情でもいいんですけど、覚えててもらって、時折思い出してほしいんです。劇音楽はそのための、ひとつの手段だったりします。劇中歌をよく使うのも、そういう意図があったりしますね。

ーでは最後にmola!をチェックしている方へメッセージをお願いいたします!

田坂 『関門オペラ』、平家物語という古典を下敷きにしてますけど、難しくないです。なにせ原作が1000年滅びず語り継がれてるわけで、それはもうめちゃくちゃ面白いです。那珂川と下関という、平家伝説の残る土地での公演ですので、その土地でしか嗅げない歴史のにおいを感じながら、一緒に平家物語の世界で遊べたらうれしいです。
永山 稽古を重ねるたびに、この作品の本当の主人公は、客席に座っているみなさんであるような気がしています。どうか、その日、客席で、わたしたちと一緒に旅をしましょう。お待ちしています。


『三文オペラ』の出演は、穴迫信一(ブルーエゴナク)、荒木宏志(劇団ヒロシ軍)、かみもと千春(劇団こふく劇場)、榮田佳子(劇団千年王國)、多田香織(KAKUTA)、手島曜(14+)、橋本隆佑(超人気風族)、森タカコ(劇団HIT!STAGE)、神水流じん子、(劇団25馬力)、伊藤海(FLAG・劇団歩く窓)、ほか。

お問い合わせは公益財団法人宮崎県立芸術劇場0985-28-3208まで。

『関門オペラ』の出演は、ぽち、ケニー、稲田小百合、成清暁子、根岸美利、古賀相恩、永井里枝、にしむらまなみ、田坂哲郎(以上、非・売れ線系ビーナス)、大竹謙作(あなピグモ捕獲団)、加藤久美子、君島史哉(演劇ユニットそめごころ)、古賀今日子、徳留春菜(14+)、富田文子、松岡伸哉。

お問い合わせは非・売れ線系ビーナス080-3986-0864、hi.uresenkei.venus@gmail.comまで。


宮崎県立芸術劇場プロデュース 「演劇・時空の旅」シリーズ#8『三文オペラ』

作:ベルトルト・ブレヒト
訳:谷川道子(光文社古典新訳文庫)
音楽:クルト・ヴァイル
演出:永山智行
日時:2018年6月22日(金)19:00
        23日(土)13:00/18:00
        24日(日)14:00★
   ★…アフタートーク実施
会場:メディキット県民文化センター 演劇ホール舞台上舞台(宮崎市船塚3-210)
料金:一般前売3,000円(3,500円)
   くれっしぇんど倶楽部会員前売2,700円
   U25割1,500円
   ペア割5,000円(前売りのみ)

非・売れ線系ビーナス 第24回公演『関門オペラ』

脚本・演出:田坂哲郎

【福岡公演】
日時:2018年8月19日(日)14:00
会場:ミリカローデン那珂川 文化ホール(筑紫郡那珂川町仲2-5-1)
料金:一般前売2,500円(当日3,000円)
   学生前売1,500円(当日2,000円)
   浴衣を着て来場で300円キャッシュバック

【下関公演】
日時:2018年9月14日(金)18:30
        15日(土)14:00
会場:下関市生涯学習プラザ DREAM SHIP 風のホール(下関市細江町3-1-1)
料金:一般前売1,800円(当日2,300円)
   ペア割3,000円(前売のみ)
   学生1,500円

【関連サイト】
メディキット県民文化センター 「演劇・時空の旅」シリーズ#8『三文オペラ』公演詳細ページ
非・売れ線系ビーナス
非・売れ線系ビーナス(Facebook)
非・売れ線系ビーナス(Twitter)

※情報は変わる場合がございます。正式な公演情報は公式サイトでご確認ください。

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket