「mola!賞2019」発表!

2020.01.15

2019年12月に公募を行い、エントリー即受賞が確約されていた「mola!賞2019」。7件のエントリーがあり、7件すべて無事受賞となった。受賞者/団体は以下の通り(掲載は応募順)。mola!編集長の藤本瑞樹、kitaya505代表の北村功治によるコメントとともにどうぞ。

博多弁落語が上等で賞

<受賞対象>
曾根巣家月曜(そねすや・まんでー)

<功績>
2019年4月落語茶屋ソネス上演、古典落語『元犬』の上演において。上方古典落語の名作を、古式ゆかしい博多弁で語るだけでなく、博多の庶民の暮らしや慣習、祭り、風情をこまかく織り込み、「博多弁落語」として完成度の高い落語を披露されたことを讃えるもの

<受賞コメント>
このたびはたいへん名誉な賞を授かり、ありがとうございます。
これもひとえに、劇作である席亭と10年間落語茶屋存続のために努力を重ねた仲間一同、そして毎月お運びいただくお客様のおかげさまです。
落語茶屋ソネス10周年に向けて、より一層の精進を重ねてまいりますれば、今後とも変わらぬご愛顧とお引き立てのほど何卒よろしくお願い申し上げます。
mola!様の今後のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。

藤本 これはクロキカオリさんによる他薦ですね。曾根巣家月曜さんに賞をあげたい、と。
北村 これはmola!でピックアップできてなかった演目だね。
藤本 福岡では演劇をやられている方が落語にも取り組んでいるケースをよく見ますが、こうやって知らなかった情報が寄せられるのはありがたいですね。
北村 10周年の上演がある際には、ぜひmola!に情報をお送りください!

令和元年、九州で一番長く舞台上で倒立をした俳優賞

<受賞対象>
森園まっほー

<功績>
「タンドリーチキンの朝」の舞台上で30秒、サーランバ・シルシャーサナ(倒立)をした

<受賞コメント>
初めて挑戦した一人芝居で、このような賞をいただけて嬉しいです。
インドへ修行に行き、身体を鍛えた甲斐がありました。
この作品のために協力してくれた友人、家族、応援くださった方々、倒立を教えてくれたヨガ学校のチャラン先生、ラビ先生、上演の機会をくださったINDEPENDENTの相内P、身体が鍛えられる芝居をしたいという私からの唐突な脚本オファーに快く応えてくださった別府源一郎さんに感謝いたします。ありがとうございます。

藤本 こういうのなんですよね。こういうのを待ってた。
北村 九州で一番長く舞台上で倒立をした俳優賞。
藤本 サーランバ・シルシャーサナですからね。
北村 ぜひチャラン先生、ラビ先生にも受賞報告をしてほしいです。
藤本 今後ますますのご倒立を期待しております。

銀歯賞

<受賞対象>
藤原達郎

<功績>
舞台出演の直前、銀歯が取れてしまったにも関わらず、銀歯のなさを演技力でカバーし、言うなれば、演技という名の銀歯を虫歯にかぶせ、本番を勤め上げた

<受賞コメント>
出演中にお腹が鳴ってはいけないと思い、本番前、コンビニで購入した赤飯おこわを食べました。赤飯おこわというのは、通常のおにぎりに比べて粘着力が強く、これは想像でしかないのですが、おそらくもち米が使用されており、その粘着力に、僕の右上の奥歯は耐えることができず、噛み締めたと同時に、おこわに銀歯を持って行かれました。

取れたのが銀歯だったことが不幸中の幸いでした。もし銀歯が取れたのではなく、あごが外れたのだとしたら、おそらく僕の演技力ではカバーしきれませんでした。あごが外れた状態で、ハッピーでラブリーな演技ができるのは、たぶんジムキャリーくらいです。しかし、赤飯おこわを食べてあごが外れるということはまず起こらないので、いや、銀歯もまず取れないのですが、あごが外れることを想定するのはさらなる杞憂ですし、ほっぺたが落ちたのだとしたら万々歳です。
先程、ハッピーでラブリーな演技、と言いましたが、それは僕が出演していたのが、飛ぶ劇場の『ハッピー、ラブリー、ポリティカル』という作品だったからで、というのも、僕は飛ぶ劇場の劇団員であり、そのこと自体は別に賞賛に値することではないのですが、いや、賞賛してくれて全然かまわないのですが、申し遅れましたが飛ぶ劇場の藤原です。

僕も俳優としての経験はそれなりにあり、銀歯が取れて降板したとあっては名が廃ると思い、取れた銀歯をそっとメガネケースの中にしまい、代表の泊篤志にばれないようにするのは当然のこと、他の団員にもばれないよう平静を装いました。すなわち僕は、楽屋にいる時からすでに「銀歯が取れていない人」の役柄を演じていたということです。

『ハッピー、ラブリー、ポリティカル』で、僕は「市会議員」「老人」「祈祷師」の三役を演じる予定だったのですが、本番直前に「銀歯が取れていない市会議員」「銀歯が取れていない老人」「銀歯が取れていない祈祷師」の三役を演じるという、けっこうな演技プランの変更を余儀なくされたわけです。

開演まではすでに一時間を切っています。「こうしてはいられない、プランを練りなおさなくては……」と、平静を装った顔に冷や汗を垂らしつつ台本を開いた時、さらなるアクシデントが発生しました。受付でチケットのモギリをする予定の太田カツキが、まだ劇場に現れていないのです。太田カツキは飛ぶ劇の団員、かつ居酒屋の店員なので、夜勤です。つまり、寝坊です。チケットは誰かがモギらねばならず、出演者の中で、オープニングに登場しないのは僕だけのため、必然、モギリは僕が担当することとなります。

開演30分前、お客さんが次々とやってきました。僕は笑顔で「いらっしゃいませ」と言い、チケットをモギりました。この時、僕は「銀歯の取れていない受付の人」を演じていたわけです。上演時間を聞かれれば「100分程度を予定しております」と銀歯の取れていない受け答えをし、ロビーでキョロキョロしているお客さんを見かければ「お手洗いは、そちらをまっすぐ行って右手にございます」と銀歯の取れていない案内をしました。

開演まで10分を切った頃、「すいません、遅くなりました……」と、肩で息をしながら太田カツキが現れました。この時、太田カツキは「遅刻はしたものの一生懸命急いだ人」を演じていたのですが、それはまた別の話で、僕は「あとは頼むよ」と笑顔で言い、「銀歯の取れていない良き先輩」を演じつつ楽屋に戻りました。

さて、まもなく開演。今さら演技プランの変更は不可能です。ここで、僕は大きな賭けに出ました。「銀歯の取れていない人」を演じるのではなく、「銀歯、別に取れててもいいんじゃないか」と思い直したのです。ものさえ食べなければ虫歯には響かないのだから、差し当たって演技には何の支障もありません。ノープロブレム。発想を転換した僕は、衣装に着替え、ネクタイを締め直し、ハッピーでラブリーな笑顔を作り、舞台袖にスタンバイしたのでしたーー

はたして、この賭けが吉と出たのか、凶と出たのか。それは、本番を観てくれたお客さんのみぞ知る。

藤本 短編小説が来た。
北村 これ本番どうだったの?
藤本 藤原達郎くんが出演している回を観られなくて、ちょうど劇場事務所にいたので出演シーンをモニターで観たんですけど、銀歯が取れていることを微塵も感じさせない演技でしたよ。
北村 賭けが吉と出たんだ?
藤本 モニターで観た限りではそうですね。

2019年、北九州でインプロを頑張って広めたで賞

<受賞対象>
インプロ北九州

<功績>
北九州でこれまであまり注目を浴びていなかったインプロ(即興パフォーマンス)を、毎月の定期的なワークショップ開催を通じて幅広い層に触れてもらう機会を創出、最近では代表の亀井が初めて会った九州の演劇関係者に自己紹介をすると「あ、インプロ北九州って聞いたことある、Twitterで見ましたよ」と言われるくらいには認知を上げた

<受賞コメント>
この度「2019年、北九州でインプロを頑張って広めたで賞」を受賞しました、インプロ北九州代表の亀井琴絵です。
…えー、創立1年でこのような権威ある賞をいただき、正直テンパってます(笑)。
嬉しさと驚きがぐしゃぐしゃ入り混じったようなこの感じ。
とはいえ、この受賞コメント提出が0時までと先ほどkitayaの北村さんのツイッター投稿で知り、とり急ぎ非・売れ線系ビーナスさんのマチソワ公演観劇の合間、大名のROBERT’S COFFEEにて、震える手で筆を走らせています。もとい、タッチタイピングをしています。
インプロ北九州は2018年11月に福岡県北九州市で突如誕生した即興パフォーマンス集団であります。
(設立の経緯をインタビュー記事としてmola!さんにも取り上げていただきました、その節はお世話になりました!)
そこから1年、インプロ北九州は毎月(正確にはやってない月もありますが、テンションが上がって週1回やってた月もあるので平均して毎月と言っていいでしょう、)オープン稽古と称して即興芝居のワークショップを行なってきました。
小学生からウン十代まで、普段舞台に立っている役者もまったく演劇なんてやったことがないという人も入り乱れてひたすら即興芝居にトライする場を続けることができたのは、ひとえに参加してくださった皆様、応援いただいた皆様のおかげだと思っています。
心から感謝しています、ありがとうございます。
来年も「2020年、北九州でインプロを頑張って広めたで賞」を受賞したいかと言えば、それは嘘になります。
頑張って広めるフェーズからもう一段階進んで、インプロをやる人や見る人が増えて、そうですね、「2020年、北九州でのインプロの盛り上がりに寄与したで賞」がもらえるような、より北九州で身近なものにインプロをしていきたいと考えています。

藤本 「…えー、創立1年でこのような権威ある賞をいただき、正直テンパってます(笑)。」。こういうのなんですよ、見たかったの。
北村 mola!賞の趣旨をわかってもらえてる感じがするね。
藤本 賞の形を借りて、宣伝してほしいっていうのもありましたからね。
北村 「インプロやってる集団」ていうのが北九州になかったから、実際に評価されるべきことではあるよね。
藤本 2020年、「北九州でのインプロの盛り上がりに寄与したで賞」をぜひ受賞していただきたいです。mola!賞2020をやるかどうかはわかりませんが……。

主演陰男優湿賞

<受賞対象>
陰湿集団

<功績>
様々な人と関わり、繋がりを大切にし、社会に大きく寄与した

<受賞コメント>
いろんな人といっぱいやりました。

藤本 mola!の記事読み返してみたら、陰湿集団さんは2019年3月にやった卒業企画「いんしつくんはだれだ?」がいまのところ最後で、調べてみたら活動休止してるんですね。
北村 大学を卒業して、社会人が過半数になったみたいだから、活動が難しいのかもね。
藤本 でも賞にエントリーしてくれたということは、終わったわけではないということだと思うので、2020年もぜひなんらかの賞を受賞できるよう、活動が続いてほしいですね。
北村 mola!賞2020をやるかどうかはわかりませんが……。

駆け抜けたったで賞

<受賞対象>
青野大輔

<功績>
この1年、福岡、北九州地区にて役者として数多くの作品に携わりつつ、ダンス振付などさまざまな形で演劇作品にかかわり、ひたすらに駆け抜けていた

<受賞コメント>
この度「mola!賞2019 駆け抜けたったで賞」をいただきました、非・売れ線系ビーナス所属、青野大輔です。
福岡の劇団所属でありながら、今年はたくさんの方々の支えやお声かけのおかげで、北九州でも活動していくことができました。まさしく福北を駆け抜ける活躍ができたのはひとえに僕の努力と皆々様のお気遣いあってのものです。本当にありがとうございます。
2020年は、この賞の名に恥じぬようより一層努力し、駆け抜けてまいる所存です。

北村 2019年はほんとに若手の方々の名前をよく聞いた1年だったなっていう印象がある。
藤本 そうですね。
北村 今後ますますいろんな若い方々が活躍するんだろうなと思うけど、彼らの世代がどうなっていくのかっていうのは楽しみだね。
藤本 もしmola!賞2020をやるとなったら、若い方々が多数エントリーしてくれるといいですね。
北村 青野さんに負けないよう、みなさん2020年も駆け抜けてください。

明日もブースで会いま賞

<受賞対象>
くまもと演タメ学園生徒会

<功績>
演劇・エンタメに関するYouTube番組を投稿するため、連日ブースで収録を行うその気合いに送る

<受賞コメント>
この度はくまもと演タメ学園生徒会にぴったりな賞を頂きありがとうございます。2019年11月に発足したばかりの団体ですが、まさかこんなに早く賞を頂けるなんて光栄です。
「演劇をもっとエンタメに」をテーマに、手探りではありますが、毎週金曜日にYouTubeチャンネルを更新しているんです。熊本で行われる公演情報だったり、生徒会メンバーがハマってるエンタメについてだったり毎週内容は様々なんですが、なんせ毎週なので始めてからは1週間がアッと言う間ですね。今は2月末に控えた初めての主催演劇公演の稽古も行っているので、生徒会メンバーとはYouTube収録で会い、稽古で会い、ほぼ毎日会っているような感覚です。
そういえば、その演劇公演のタイトルが今回頂いた賞とぴったりなんですよ!「明日もブースで会いましょう」っていうお仕事エンターテイメントの舞台なんですけど、いやー、こんな偶然ってあるんですね。
せっかく頂いた賞ですから、この勢いに乗ってYouTubeも公演ももっともっと盛り上げていきたいと思います!

藤本 これは「くまもと演タメ学園生徒会」の酒井絵莉子さんからの自薦ですね。コメントも酒井さんによるものです。
北村 賞のタイトルがうまいね。
藤本 公演タイトルとたまたま語呂があっちゃったっていう。
北村 2〜3月の始業式(旗揚げ公演)の宣伝も兼ねてて。Twitterとか見てても、楽しく活動してるんだろうなというのがわかる。
藤本 年末もしまたmola!賞をやることになったら、こういう感じで宣伝にも使ってほしいですね。


藤本 というわけで初のmola!賞、終わりましたが。
北村 意外と来たね。
藤本 僕もう少し応募してもらえると思ってたんですよ。
北村 そうなの?
藤本 15件くらい行くかなーと思ってたんですけど。
北村 あそう? 「自由にどうぞ」っていうのが実際ハードル高かったのかもね。
藤本 確かに、迷ってくださってる方はちらほら見ましたね。
北村 こういう冗談のような企画に乗ってくださって、ありがとうございました。
藤本 ありがとうございました。
北村 この賞を励みに……なるかわかんない賞ですが、今年もみなさまのご活躍を期待しております。
藤本 公演情報、ぜひぜひお寄せください。
北村 ではまた年末!
藤本 年末……やるかなあ……。

【関連サイト】
曾根巣家 月曜 | 落語茶屋ソネス かわらばん
森園まっほー (倒立制作)(Twitter)
飛ぶ劇場
インプロ北九州(Twitter)
陰湿集団(Twitter)
非・売れ線系ビーナス
くまもと演タメ学園生徒会

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